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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • HIV-1感染症

用法・用量

  • リルピビリン塩酸塩との併用において、通常、成人には1回1錠(カボテグラビルとして30mg)を1日1回経口投与する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 リファンピシン、フェニトイン、ホスフェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピンを投与中の患者[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類:C)患者
重度(Child-Pugh分類:C)の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。[11.1.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
動物実験(ラット)において、1000mg/kg/日(最大臨床用量におけるヒト曝露量の26倍)の経口投与時に、胎児体重の低値、分娩遅延、死産数の増加及び出生児の生存率低下が報告されている。また、動物実験(ラット)で胎盤通過性が認められている。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。一般に、乳児へのHIV感染を防ぐため、あらゆる状況下においてHIVに感染した女性は授乳をすべきでない。
動物実験(ラット)において、妊娠6日から分娩20日にカボテグラビルを経口投与したとき、生後10日の出生児血漿中に薬物が認められたことから、ヒトにおいても乳汁に移行する可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
8.2 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
・本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
・本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。
・担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
・本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合には、事前に担当医に報告すること。
8.3 肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行う等、観察を十分に行うこと。[11.1.1参照]

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤は食事の有無に関わらず投与できるが、リルピビリン経口剤と併用する場合は、食事中又は食直後に経口投与すること。
7.2 カボテグラビル注射剤及びリルピビリン注射剤の併用療法の経口導入として用いる場合には、本剤をリルピビリン経口剤との併用により1ヵ月間(少なくとも28日間)を目安に経口投与し、カボテグラビル及びリルピビリンに対する忍容性を確認すること。
7.3 カボテグラビル注射剤を投与予定日の7日後までに投与できない場合は、本剤による代替投与が可能であるが、以下の点に留意すること。
・代替投与可能な期間は2ヵ月間までであること。本剤による代替期間が2ヵ月間を超える場合は、他の抗HIV薬へ切り替えることを考慮すること。
・カボテグラビル注射剤を再開する際にはカボテグラビル注射剤の電子添文を参照すること。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 本剤は、ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制(ヒト免疫不全ウイルス[HIV]-1 RNA量が50copies/mL未満)が得られており、カボテグラビル及びリルピビリンに対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者に使用すること。[17.1.1-17.1.3参照]
5.2 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
5.3 本剤は以下の場合に限り使用すること。
・長時間作用型の薬剤であるカボテグラビル注射剤の投与に先立って、経口導入としてカボテグラビルへの忍容性を確認する。
・カボテグラビル注射剤を予定するスケジュール通りに投与できない場合の代替薬として使用する。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 経口投与(投与1日目)
HIV感染症患者8例にカボテグラビル30mgを1日1回反復経口投与した時の投与初日の薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移をそれぞれ表-1及び図-1に示す。
表-1 HIV感染症患者にカボテグラビル30mgを反復経口投与した時の血漿中薬物動態パラメータ(1日1回反復投与の投与1日目)
AUC(0-t)(μg・h/mL)Cmax(μg/mL)C24(μg/mL)tmax(h)注1)
70.1038(10.68865)4.6963(0.82365)2.2475(0.33835)2.9333(0.983-4.000)
平均値(標準偏差)、8例注1)中央値(範囲)
図-1 HIV感染症患者にカボテグラビル30mgを反復経口投与した時の血漿中薬物濃度推移(1日1回反復投与の投与1日目)(平均値+標準偏差、8例)
16.1.2 反復経口投与
(1)母集団薬物動態モデルを用いた、HIV感染症患者を対象とした国際共同第III相試験(201584試験及び201585試験)におけるカボテグラビルとリルピビリン併用投与時のカボテグラビルの薬物動態パラメータ(推定値)を日本人及び外国人集団別に表-2に示す。[17.1.1、17.1.2参照]
薬物動態パラメータについては、カボテグラビル30mgを1日1回反復経口投与した時の実測値に基づく各被験者の事後推定値を踏まえて予測した結果である。
表-2 HIV感染症患者にカボテグラビル30mgを反復経口投与した時の血漿中薬物動態パラメータ(母集団薬物動態解析による推定値)
患者例数AUC(0-τ)(μg・h/mL)Cmax(μg/mL)Cτ(μg/mL)tmax注1)(h)
日本人8185.7(165,209)9.6(8.6,10.7)6.1(5.4,7)2.8(1.2-4.7)
外国人732146.7(143.7,149.7)8.0(7.9,8.2)4.7(4.6,4.8)1.9(1.5-4.9)
幾何平均値(95%信頼区間)注1)中央値(範囲)
(2)HIV感染症患者8例にカボテグラビル30mgを1日1回反復経口投与した時、血漿中カボテグラビル濃度は投与7日後までに定常状態に達した(外国人データ)。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人21例に食後(高脂肪食:53%脂肪/870kcal)に本剤30mgを単回経口投与注)した時、空腹時と比べて、血漿中カボテグラビルのAUC(0-t)及びCmaxはいずれも14%増加した(外国人データ)。
16.2.2 バイオアベイラビリティ
カボテグラビルの経口剤と注射剤(筋肉内投与)を比較した時の経口剤の相対バイオアベイラビリティは75.6%であった(母集団薬物動態解析による推定値)。
16.3 分布
16.3.1 血漿蛋白結合率
In vitroでのカボテグラビルのヒト血漿蛋白結合率は99%超であった。
16.3.2 分布容積
カボテグラビルの見かけの分布容積(幾何平均値)は12.3Lであった。
16.3.3 血球移行性
ヒトでの血液:血漿の比(平均値)は0.437~0.571であった。
16.3.4 脳脊髄液への移行
カボテグラビルは脳脊髄液中に分布する。HIV感染症患者にカボテグラビル400mgを4週間隔で、カボテグラビル600mgを8週間隔で筋肉内投与注)した時、定常状態における投与1週間後のカボテグラビルの脳脊髄液中濃度と血漿中濃度との比(中央値)はいずれも0.003であった(外国人データ)。
16.3.5 組織内分布
カボテグラビルは男性及び女性の生殖器に分布する。健康成人にカボテグラビル400mgを単回筋肉内投与注)した時、子宮頸部及び膣組織:血漿比の中央値は0.16~0.28、直腸組織:血漿比の中央値は0.08以下であった(外国人データ)。
16.4 代謝
16.4.1 主な代謝酵素
In vitroにおいてカボテグラビルは主にUGT1A1で、一部UGT1A9でグルクロン酸抱合された。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人に14C-カボテグラビル30mg(水溶液)注)を単回経口投与した時の総投与量の約59%が糞中に、約27%が尿中に回収された。糞中排泄物の大部分(総投与量の約47%)は未変化体であり、尿中には代謝物のみ検出された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
重度の腎機能低下者(8例、クレアチニンクリアランス(Ccr):30mL/min未満)及び健康成人8例にカボテグラビル30mgを単回経口投与した時の血漿中カボテグラビルの薬物動態パラメータを表-3に示す(外国人データ)。なお、透析患者でのカボテグラビルの薬物動態に及ぼす影響については検討していない。
表-3 重度の腎機能低下者及び健康成人にカボテグラビル30mgを単回経口投与した時の血漿中カボテグラビルの薬物動態パラメータ
被験者例数Cmax(μg/mL)AUC(0-inf)(μg・h/mL)t1/2(h)
重度の腎機能低下者83.34(2.67,4.17)142.72注1)(115.40,176.51)39.24注1)(33.93,45.39)
健康成人83.37(2.96,3.83)140.48(115.84,170.37)40.54(36.92,44.52)
幾何平均値(95%信頼区間)注1)7例
16.6.2 肝機能障害患者
中等度の肝機能低下者(8例、Child-Pugh分類:B)及び健康成人8例にカボテグラビル30mgを単回経口投与した時の血漿中カボテグラビルの薬物動態パラメータを表-4に示す(外国人データ)。なお、重度の肝機能低下者でのカボテグラビルの薬物動態に及ぼす影響については検討していない。
表-4 中等度の肝機能低下者及び健康成人にカボテグラビル30mgを単回経口投与した時の血漿中カボテグラビルの薬物動態パラメータ
被験者例数Cmax(μg/mL)AUC(0-inf)(μg・h/mL)t1/2(h)
中等度の肝機能低下者82.70(1.94,3.76)101.73(75.22,137.58)30.85(23.72,40.13)
健康成人83.55(2.90,4.33)127.08(94.74,170.47)37.25(33.41,41.53)
幾何平均値(95%信頼区間)
16.7 薬物相互作用
16.7.1 In vitro試験
In vitroにおいてカボテグラビルはP-gp及びBCRPの基質であった。また、in vitroにおいてカボテグラビルはOAT1及びOAT3を阻害し、IC50はそれぞれ0.81及び0.41μMであった。[10.、10.2参照]
16.7.2 カボテグラビルが併用薬の薬物動態に及ぼす影響
カボテグラビルが併用薬の薬物動態に及ぼす影響を表-5に示す(外国人データ)。
表-5 カボテグラビルが併用薬の薬物動態に及ぼす影響
併用薬及び用量カボテグラビルの用量例数カボテグラビル併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータの幾何平均の比(90%信頼区間)
CmaxAUCCτ又はC24
エチニルエストラジオール
0.03mg 1日1回
30mg注1)190.92(0.83,1.03)1.02(0.97,1.08)1.00(0.92,1.10)
レボノルゲストレル
0.15mg 1日1回
30mg注1)191.05(0.96,1.15)1.12(1.07,1.18)1.07(1.01,1.15)
ミダゾラム
3mg単回
30mg注1)121.09(0.94,1.26)1.08(0.96,1.22)
リルピビリン
25mg 1日1回
30mg注1)110.96(0.85,1.09)0.99(0.89,1.09)0.92(0.79,1.07)
算出不能:-注1)カボテグラビル経口剤1日1回投与時
16.7.3 併用薬がカボテグラビルの薬物動態に及ぼす影響
併用薬がカボテグラビルの薬物動態に及ぼす影響を表-6に示す(外国人データ)。[10.1参照]
表-6 併用薬がカボテグラビルの薬物動態に及ぼす影響
併用薬及び用量カボテグラビルの用量例数他剤併用時/非併用時のカボテグラビルの薬物動態パラメータの幾何平均の比(90%信頼区間)
CmaxAUCCτ又はC24
エトラビリン
200mg 1日2回
30mg注1)121.04(0.99,1.09)1.01(0.96,1.06)1.00(0.94,1.06)
リファブチン
300mg 1日1回
30mg注1)120.83(0.76,0.90)0.79(0.74,0.83)0.74(0.70,0.78)
リファンピシン
600mg 1日1回
30mg注2)150.94(0.87,1.02)0.41(0.36,0.46)0.50(0.44,0.57)
リルピビリン
25mg 1日1回
30mg注1)111.05(0.96,1.15)1.12(1.05,1.19)1.14(1.04,1.24)
注1)カボテグラビル経口剤1日1回投与時注2)カボテグラビル経口剤単回投与時
注)本剤の承認された用法及び用量は、「リルピビリン塩酸塩との併用において、通常、成人には1回1錠(カボテグラビルとして30mg)を1日1回経口投与する。」である。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
リファンピシン
リファジン
[2.2、16.7.3参照]
本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。これらの薬剤がUGT1A1を誘導することにより、本剤の代謝が促進される。
カルバマゼピン
テグレトール
[2.2参照]
本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。これらの薬剤がUGT1A1を誘導することにより、本剤の代謝が促進される。
フェニトイン
アレビアチン
[2.2参照]
本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。これらの薬剤がUGT1A1を誘導することにより、本剤の代謝が促進される。
ホスフェニトイン
ホストイン
[2.2参照]
本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。これらの薬剤がUGT1A1を誘導することにより、本剤の代謝が促進される。
フェノバルビタール
フェノバール
[2.2参照]
本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。これらの薬剤がUGT1A1を誘導することにより、本剤の代謝が促進される。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
制酸剤(Mg、Ca、Al等)
乾燥水酸化アルミニウムゲル
沈降炭酸カルシウム
本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。多価カチオン含有制酸剤は、本剤の投与2時間以上前又は4時間以上後の経口投与が推奨される。これらの多価カチオンと錯体を形成することにより、本剤の吸収が阻害される。
メトトレキサート
[16.7.1参照]
メトトレキサートの作用が増強するおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察すること。本剤のOAT1/OAT3の阻害作用により、メトトレキサートの血漿中濃度が上昇する可能性がある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害(頻度不明)
AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。[8.3、9.3.1参照]
11.1.2 薬剤性過敏症症候群(頻度不明)
重度又は発熱を伴う発疹、全身倦怠感、疲労、筋肉痛又は関節痛、水疱、口腔病変、結膜炎、顔面浮腫、肝炎、好酸球増加症又は血管性浮腫等があらわれた場合には投与を中止し、肝機能検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。
リルピビリン製剤併用時の経口剤及び注射剤における発現頻度

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

1~10%未満1%未満頻度不明
精神・神経系頭痛、不安、異常な夢、不眠症、浮動性めまいうつ病、傾眠自殺念慮、自殺企図
消化器悪心、下痢嘔吐、腹痛、鼓腸
皮膚発疹血管性浮腫、蕁麻疹
筋骨格筋肉痛
全身症状発熱、疲労、無力症、倦怠感
臨床検査体重増加、トランスアミナーゼ上昇、リパーゼ増加総ビリルビン上昇

リルピビリン製剤併用時の経口剤及び注射剤における発現頻度

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