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ダルビアス点滴静注用135mg

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫

用法・用量

  • 通常、成人にはダリナパルシンとして1日1回300mg/m2(体表面積)を1時間かけて5日間点滴静注した後、16日間休薬する。この21日間を1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

禁忌 

【警告】

  • 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者
QT間隔延長が起こるおそれがある。[8.3、11.1.5参照]
9.2 腎機能障害患者
本剤は主に腎臓から排泄されるため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.4 生殖能を有する者
9.4.1 妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.4.2 パートナーが妊娠する可能性のある男性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[15.2.1参照]
9.4.3 生殖可能な男性に投与する場合には、造精機能の低下があらわれる可能性があることを考慮すること。動物実験(マウス、ラット、イヌ)において、精巣精細管の変性・萎縮、伸長精子細胞の変性、精巣上体中の精子数減少等が報告されている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ)において、胚致死及び生存胎児数減少が認められた。また、ヒトへのヒ素の過剰な長期摂取により、自然流産及び死産のリスク増加等の生殖発生に対する有害性を示す可能性が報告されている。[2.2、9.4.1参照]
9.6 授乳婦
本剤投与中及び投与終了後一定期間は授乳を避けさせること。本剤のヒト乳汁中への移行は確認していないが、無機ヒ素において乳汁への移行が報告されている。また、ヒ素化合物が混入したミルクを摂取した乳児において死亡例や皮膚症状の発生が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

8.重要な基本的注意

8.1 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.1参照]
8.2 せん妄、錯乱等の精神障害があらわれることがあるので、症状について患者等に説明をし、異常が認められた場合には医師等に連絡するように指導すること。[11.1.3参照]
8.3 QT間隔延長があらわれることがあるため、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。また、必要に応じて電解質補正を行うこと。[9.1.1、10.2、11.1.5参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 調製時には、防護具(眼鏡、手袋、マスク等)を着用すること。薬液が皮膚に付着した場合は直ちに石鹸及び流水で洗い流すこと。また、粘膜に付着した場合は直ちに流水で洗い流すこと。
14.1.2 本剤1バイアルに注射用水1.8mLを注入後、澄明で均一になるまでバイアルを振り混ぜ、75mg/mLの溶解液を調製する。
14.1.3 溶解液調製後は速やかに希釈液を調製すること。なお、溶解後やむを得ず保存する場合は、室温では6時間以内、2~8℃では24時間以内に希釈すること。
14.1.4 必要な投与量を含有する溶解液をバイアルから抜き取り、生理食塩液250mLに加えて混和し、希釈液を調製する。
14.1.5 希釈液調製後は速やかに投与すること。なお、希釈後やむを得ず保存する場合は室温で保存し、24時間以内に投与すること。
14.1.6 他の注射剤と配合又は混注しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与前に溶液を目視により確認すること。異物又は変色が確認された場合は使用しないこと。
14.2.2 中心静脈から投与することが望ましい。末梢静脈から投与する場合には、血管外への薬液の漏出に注意して慎重に投与すること。末梢静脈からの投与により投与部位の異常が発現することがある。

7.用法・用量に関連する注意

7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2 本剤の投与により、副作用が発現した場合には、以下の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は中止すること。
副作用発現時の休薬、減量又は中止の目安
副作用処置
Grade1又は2のせん妄、錯乱等の精神障害、中枢神経障害症状が回復するまで休薬する。回復後は同量で投与を再開することができる。
Grade3の副作用(悪心・嘔吐、下痢及び臨床的意義のない無症候性の検査値異常を除く)Grade1又は開始前のGradeに回復するまで休薬する。回復後は200mg/m2に減量して投与を再開することができる。200mg/m2に減量後に再発した場合には、投与を中止する。
Grade3の悪心・嘔吐、下痢対症療法で症状が改善しない場合には、回復するまで休薬する。回復後は200mg/m2に減量して投与を再開することができる。200mg/m2に減量後に再発した場合には、投与を中止する。
Grade4の副作用(臨床的意義のない無症候性の検査値異常を除く)投与を中止する。
※:GradeはNCI-CTCAE v4.0による

5.効能・効果に関連する注意

5.1 本剤投与の適応となる疾患の診断は、病理診断に十分な経験を持つ医師又は施設により行うこと。
5.2 臨床試験に組み入れられた患者の病理組織型等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.1参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与
日本人の再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者18例に本剤300mg/m2を約1時間かけて5日間静脈内投与したときの血漿中ヒ素濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。なお、血漿中ヒ素濃度は、本剤投与後のヒ素を含有する化合物の総濃度を表している。
血漿中ヒ素濃度推移(平均値±標準偏差、N=18)
5日間静脈内投与したときのDay1及びDay5の血漿中ヒ素の薬物動態パラメータ
Cmax(ng/mL)Tmax(h)AUC0-24(ng・h/mL)t1/2(h)
Day1(N=18)906.3±167.02.0(1-8)15475.6±3425.2NC
Day5(N=18)1450.6±322.82.0(1-4)25559.8±7987.422.64±6.31
平均値±標準偏差。Tmaxは中央値(範囲)として示した。NC:算出しなかった。
16.3 分布
ダリナパルシン(ヒ素濃度:0.5~10μg/mL)添加時のヒト血漿タンパク結合率は78.3~82.9%であり、ダリナパルシン(ヒ素濃度:1~10μg/mL)添加時のヒト血液/血漿中濃度比は5.53~7.00であった。なお、ダリナパルシンは血漿中で不安定なため、複数のヒ素含有化合物が含まれた値である。ジメチルアルシン酸(ヒ素濃度:0.1~10μg/mL)はヒト血漿タンパクに結合しなかった(in vitro)。
16.4 代謝
日本人を含む再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者に本剤300mg/m2を5日間静脈内投与したとき、Day5の投与1~4時間後の血漿中での主成分はジメチルアルシン酸であった(試料中総ヒ素に対する割合は91.8%)。ダリナパルシンからジメチルアルシン酸への変換は主に非酵素的な分解であることが示唆された(in vitro)。
16.5 排泄
日本人を含む再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者に本剤300mg/m2を5日間静脈内投与したとき、Day5の投与24時間後までの尿中ヒ素排泄率は67.7%であり、尿中での主成分はジメチルアルシン酸であった(試料中総ヒ素に対する割合は99%超)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 その他
ジメチルアルシン酸はCYP2B6、CYP2C8及びCYP3A4を誘導した(in vitro)。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
クラリスロマイシン、モキシフロキサシン、ベプリジル等[8.3、11.1.5参照]
QT間隔延長を増強するおそれがあるため、患者の状態を十分に観察すること。本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあり、併用によりQT間隔延長作用が増強するおそれがある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 骨髄抑制
貧血(12.3%)、好中球減少(12.3%)、血小板減少(12.3%)、白血球減少(4.6%)、リンパ球減少(4.6%)、発熱性好中球減少症(1.5%)等があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.2 感染症
肺炎(1.5%)、敗血症性ショック(1.5%)、帯状疱疹(1.5%)等があらわれることがある。
11.1.3 精神障害
せん妄(9.2%)、錯乱(3.1%)、幻覚(3.1%)、不眠症(3.1%)、不安(1.5%)、失見当識(1.5%)等があらわれることがある。[8.2参照]
11.1.4 中枢神経障害
傾眠(3.1%)、浮動性めまい(3.1%)、脳梗塞(1.5%)、回転性めまい(1.5%)、認知障害(1.5%)等があらわれることがある。
11.1.5 QT間隔延長(3.1%)[8.3、9.1.1、10.2参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上5%未満
神経系障害味覚障害、末梢性感覚ニューロパチー感覚鈍麻、末梢性ニューロパチー、頭痛
心臓心筋炎、心電図PR延長
血管系血管痛
聴力低下
消化器嘔吐便秘、悪心、下痢、口内炎、腹痛、消化不良、口腔障害
皮膚発疹、脱毛症、ざ瘡様皮膚炎、斑状丘疹状皮疹、爪線状隆起
泌尿器血中クレアチニン増加
代謝食欲減退高カリウム血症、低カリウム血症、脱水、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症
肝臓AST増加、ALT増加肝障害、γ-GTP増加
全身疲労(倦怠感)、発熱異常感、歩行障害、低体温、末梢性浮腫
その他注入に伴う反応、血中ALP増加、LDH増加、CRP増加
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