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ケサンラ点滴静注液350mg

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制

用法・用量

  • 通常、成人にはドナネマブ(遺伝子組換え)として初回は350mg、2回目は700mg、3回目は1050mg、その後は1回1400mgを4週間隔で、少なくとも30分かけて点滴静注する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤の投与は、アミロイドPET、MRI等の本剤投与にあたり必要な検査及び管理が実施可能な医療施設又は当該医療施設と連携可能な医療施設において、アルツハイマー病の病態、診断、治療に関する十分な知識及び経験を有し、本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師の下で、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。
  • 1.2 本剤の投与開始に先立ち、本剤投与によるARIAの発現割合、ARIAのリスク及びリスク管理のために必要な検査、ARIA発現時の対処法について、患者及び家族・介護者に十分な情報を提供して説明し、同意を得てから投与すること。また、異常が認められた場合には、速やかに主治医に連絡するよう指導すること。[7.5、8.2、8.2.1-8.2.4、11.1.2参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 本剤投与開始前に血管原性脳浮腫が確認された患者[ARIAのリスクが高まるおそれがある。][7.5、8.2.1参照]
  • 2.3 本剤投与開始前に5個以上の脳微小出血、脳表ヘモジデリン沈着症又は1cmを超える脳出血が確認された患者[ARIAのリスクが高まるおそれがある。][7.5、8.2.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。生殖発生毒性試験は実施していない。また、一般にヒトIgGは胎盤を通過することが知られている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の乳汁中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは乳汁中へ移行することが知られている。

8.重要な基本的注意

8.1 アナフィラキシーを含むinfusion reactionがあらわれることがあるため、本剤投与終了後少なくとも30分は患者の状態を観察すること。[11.1.1参照]
8.2 本剤はARIA管理に関する適切な知識を有する医師の下で使用し、投与開始前及び投与中は以下の点に注意すること。[1.2、7.5、11.1.2参照]
8.2.1 本剤投与開始前に、最新(1年以内)のMRI画像により、ARIAを含む異常所見の有無を確認すること。[1.2、2.2、2.3、8.2.4、8.3、11.1.2、17.1.1参照]
8.2.2 ARIAの発現は、本剤投与開始から24週間以内に多く、重篤なARIAの発現は12週間以内に多いことから、この期間は特に注意深く患者の状態を観察すること。ARIAを示唆する症状が認められた場合には、臨床評価を行い、必要に応じてMRI検査を実施すること。[1.2、7.5、8.2.4、11.1.2参照]
8.2.3 ARIAを示唆する症状が認められない場合であっても、本剤2回目の投与前、4回目の投与前、及び7回目の投与前、並びにそれ以降も定期的にMRI検査を実施し、ARIAの有無を確認すること。また、多くの重篤なARIAは治療開始12週以内にあらわれるので、必要に応じて本剤3回目の投与前にもMRI検査を実施することが望ましい。[1.2、7.5、8.2.4、11.1.2参照]
8.2.4 アポリポ蛋白E対立遺伝子4(APOEε4)(ホモ接合型又はヘテロ接合型)キャリアの患者において、ARIA-E、ARIA-H、及び重篤なARIA-E及びARIA-Hがより高い頻度で認められている。なお、発現頻度は、APOEε4(ホモ接合型)キャリアで最も高く、次にAPOEε4(ヘテロ接合型)キャリア、APOEε4ノンキャリアの順で高かった。APOEε4保因状況にかかわらず、8.2.1~8.2.3項及び11.1.2項に規定のMRI検査を含むARIA管理を実施すること。アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症患者を対象とした本剤の国際共同第III相試験(AACI試験)及び海外第III相試験(AACQ試験)におけるAPOEε4ホモ接合型キャリアの割合はそれぞれ16.7%及び10.1%であった。[1.2、7.5、8.2.1-8.2.3、11.1.2参照]
AACI試験におけるAPOEε4遺伝子型別のARIA発現頻度注1)
本剤群注2)プラセボ群
ホモ接合型(N=143)ヘテロ接合型(N=452)ノンキャリア(N=255)ホモ接合型(N=146)ヘテロ接合型(N=474)ノンキャリア(N=250)
ARIA-E41.3%(59例)23.2%(105例)15.7%(40例)3.4%(5例)2.1%(10例)0.8%(2例)
重篤なARIA-E2.8%(4例)1.8%(8例)0.4%(1例)0.0%(0例)0.0%(0例)0.0%(0例)
ARIA-H50.3%(72例)32.5%(147例)18.8%(48例)20.5%(30例)12.9%(61例)11.2%(28例)
重篤なARIA-H1.4%(2例)0.2%(1例)0.4%(1例)0.0%(0例)0.0%(0例)0.0%(0例)
注1)MRI中央読影で認められたARIA及び治験担当医師により報告されたARIAから頻度を算出した。注2)本剤を最初の3回は1回700mg、以降は1回1400mgを4週間隔で静脈内投与した(初回承認時の用法及び用量)。
AACQ試験におけるAPOEε4遺伝子型別のARIA発現頻度注3)
350mg開始群注4)700mg開始群注5)
ホモ接合型(N=21)ヘテロ接合型(N=115)ノンキャリア(N=75)ホモ接合型(N=21)ヘテロ接合型(N=112)ノンキャリア(N=72)
ARIA-E23.8%(5例)15.7%(18例)13.3%(10例)57.1%(12例)24.1%(27例)15.3%(11例)
重篤なARIA-E0.0%(0例)0.0%(0例)1.3%(1例)0.0%(0例)0.0%(0例)0.0%(0例)
ARIA-H28.6%(6例)28.7%(33例)20.0%(15例)47.6%(10例)31.3%(35例)15.3%(11例)
重篤なARIA-H0.0%(0例)0.0%(0例)0.0%(0例)0.0%(0例)0.0%(0例)0.0%(0例)
注3)MRI中央読影で認められたARIA及び治験担当医師により報告されたARIAから頻度を算出した。注4)本剤を初回は350mg、2回目は700mg、3回目は1050mg、以降は1回1400mgを4週間隔で静脈内投与した。注5)本剤を最初の3回は1回700mg、以降は1回1400mgを4週間隔で静脈内投与した(初回承認時の用法及び用量)。
8.3 本剤投与開始前のMRI検査で重度の白質病変が認められた患者において、本剤の投与を開始した経験はない。重度の白質病変が認められた患者への本剤投与の可否は、本剤投与によるリスクとベネフィットを考慮した上で、慎重に判断すること。[8.2.1参照]
8.4 一般的に高血圧症は脳出血のリスク因子であることから、本剤投与前に高血圧の有無を確認し、高血圧が持続する患者への投与は慎重に行うこと。本剤投与中は適切な血圧管理を行うこと。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤は1回使い切りのバイアル製剤である。本剤は、無菌的に希釈調製を行うこと。
14.1.2 調製の約30分前に冷蔵庫から取り出し、室温に戻しておくこと。
14.1.3 バイアル内の薬液に異物や変色が認められないことを確認し、異物や変色が認められる場合は使用しないこと。
14.1.4 希釈液は、生理食塩液を用いること。下表に従い、本剤を必要量抜き取り、生理食塩液を含む点滴静注用バッグ又はボトルに添加して最終濃度が4~10mg/mLになるように希釈すること。
投与量生理食塩液の量
350mg(本剤1バイアル、20mL)15~67.5mL
700mg(本剤2バイアル、合計40mL)30~135mL
1050mg(本剤3バイアル、合計60mL)45~202.5mL
1400mg(本剤4バイアル、合計80mL)60~270mL
14.1.5 点滴静注用バッグ又はボトルの中身をゆっくり反転させて混和し、激しく振とうしないこと。
14.1.6 調製後は、速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存を必要とする場合は、凍結を避け、冷蔵保存(2~8℃)では72時間以内、25℃以下での保存では12時間以内に使用すること。
14.2 薬剤投与時の注意
本剤投与終了後は、点滴ラインを生理食塩液にてフラッシュし、全量を投与すること。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 安全性上の理由等で本剤1400mgに増量できない場合は、漫然と投与を継続しないこと。
7.2 本剤投与中にアミロイドβプラークの除去が確認された場合は、その時点で本剤の投与を完了すること。アミロイドβプラークの除去が確認されない場合であっても、本剤の投与は原則として最長18ヵ月で完了すること。18ヵ月を超えて投与する場合は、18ヵ月時点までの副作用の発現状況、臨床症状の推移やアミロイドβプラークの変化等を考慮し、慎重に判断すること。[7.4参照]
7.3 アミロイドβプラークの除去は、アミロイドPET検査又は同等の診断法により評価し、検査を実施する場合の時期は本剤投与開始後12ヵ月を目安とすること。
7.4 本剤投与中は6ヵ月毎を目安に認知機能検査、患者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等による臨床症状の評価を行い、臨床症状の経過、認知症の重症度等から本剤の有効性が期待できないと考えられる場合は本剤の投与を中止すること。なお、本剤投与中に認知症の重症度が中等度以降に進行した患者に投与を継続したときの有効性は確立していない。[7.2、17.1.1参照]
7.5 本剤投与により、アミロイド関連画像異常(ARIA)としてARIA-浮腫/滲出液貯留(ARIA-E)もしくはARIA-脳微小出血・脳表ヘモジデリン沈着症(ARIA-H)、又は脳出血があらわれることがある。[1.2、2.2、2.3、8.2、8.2.2-8.2.4、11.1.2参照]
(1)ARIA-E
MRI画像上重度又は症候性のARIA-Eが認められた場合には、本剤の投与を中断又は中止すること。MRI画像上中等度かつ無症候性のARIA-Eが認められた場合には、本剤の投与を中断すること。MRI画像上軽度かつ無症候性のARIA-Eが認められた場合には、慎重に臨床評価した上で、本剤の投与継続の可否を検討し、投与継続する場合、特に注意深く経過観察すること。
本剤を中断し、ARIAの症状の消失及びMRI検査でのARIA-Eの消失を確認した場合には、投与の再開を検討することができる。
(2)ARIA-H及び脳出血
MRI画像上重度又は症候性のARIA-Hが認められた場合には、本剤の投与を中断又は中止すること。MRI画像上中等度かつ無症候性のARIA-Hが認められた場合には、本剤の投与を中断すること。MRI画像上軽度かつ無症候性のARIA-Hが認められた場合には、慎重に臨床評価した上で、本剤の投与継続の可否を検討し、投与継続する場合、特に注意深く経過観察すること。
本剤を中断し、ARIAの症状の消失及びMRI検査でのARIA-Hの安定化を確認した場合には、投与の再開を検討することができる。
1cmを超える脳出血が認められた場合には、本剤の投与を中止すること。
【参考】
<ARIAの重症度分類:MRI画像による分類>
ARIA-E
重症度MRI所見
軽度脳溝、皮質、又は皮質下白質の1ヵ所に限局した、5cm未満のFluid Attenuated Inversion Recovery(FLAIR)高信号
中等度最大径が5~10cmのFLAIR高信号が1ヵ所にみられる、又は10cm未満の高信号が複数部位にみられる。
重度10cmを超えるFLAIR高信号で、脳回腫脹及び脳溝消失を伴う。1ヵ所又は複数ヵ所に独立した病変を認める。
ARIA-H
重症度MRI所見
脳微小出血脳表ヘモジデリン沈着症
軽度新規が1~4個1ヵ所
中等度新規が5~9個2ヵ所
重度新規が10個以上3ヵ所以上
<ARIA及び脳出血発現時の対応>
ARIA-E
画像上の重症度臨床症状の有無
無症候性症候性
軽度投与継続可能注1)症状及び画像所見消失まで投与中断注3)又は中止
中等度画像所見消失まで投与中断注2)
重度画像所見消失まで投与中断注2)又は中止
注1)慎重に臨床評価した上で、本剤の投与継続の可否を検討し、投与継続する場合、特に注意深く経過観察すること。注2)MRI検査でのARIA-Eの消失を確認した場合には、投与の再開を検討することができる。注3)ARIAの症状の消失及びMRI検査でのARIA-Eの消失を確認した場合には、投与の再開を検討することができる。
ARIA-H及び脳出血
画像上の重症度臨床症状の有無
無症候性症候性
軽度投与継続可能注4)症状消失及び画像所見安定化まで投与中断注6)又は中止
中等度画像所見安定化まで投与中断注5)
重度画像所見安定化まで投与中断注5)又は中止
1cmを超える脳出血投与中止
注4)慎重に臨床評価した上で、本剤の投与継続の可否を検討し、投与継続する場合、特に注意深く経過観察すること。注5)MRI検査でのARIA-Hの安定化を確認した場合には、投与の再開を検討することができる。注6)ARIAの症状の消失及びMRI検査でのARIA-Hの安定化を確認した場合には、投与の再開を検討することができる。
<ARIA及び脳出血発現後のMRIモニタリング>
ARIA-E
画像上の重症度MRIモニタリング
軽度無症候性で投与を継続する場合、ARIA重症化の有無を確認するため、発現から約1~2ヵ月後にMRI検査の実施を考慮する。
無症候性で投与を中断する場合、又は症候性の場合は、中等度、重度のMRIモニタリングに準ずる。
中等度発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施する。画像上ARIA-Eの消失が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。
重度
ARIA-H及び脳出血
画像上の重症度MRIモニタリング
軽度症候性の場合、発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施する。画像上ARIA-Hの安定化が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。
中等度発現から約2~4ヵ月後にMRI検査を実施する。画像上ARIA-Hの安定化が確認されない場合は、追加のMRI検査を実施する。
重度
1cmを超える脳出血臨床評価に基づき適宜MRI検査を実施する。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 本剤は、疾患の進行を完全に停止、又は疾患を治癒させるものではない。
5.2 承認を受けた診断方法、例えばアミロイドPET、脳脊髄液(CSF)検査、又は同等の診断法によりアミロイドβ病理を示唆する所見が確認され、アルツハイマー病と診断された患者のみに本剤を使用すること。
5.3 無症候でアミロイドβ病理を示唆する所見のみが確認できた者、及び中等度以降のアルツハイマー病による認知症患者に本剤を投与開始しないこと。
5.4 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、第III相試験で用いられた診断基準、組み入れられた患者の臨床症状スコアの範囲、試験結果等を十分に理解した上で本剤投与の適否を判断すること。[17.1.1、17.1.2参照]
5.5 フロルタウシピル(18F)を用いたPET検査の結果から軽度以上のタウ蓄積が認められると判断できない患者に対する有効性及び安全性は確立していない。本剤の投与に先立ち、アミロイドβ病理に関する検査結果、アルツハイマー病の病期、フロルタウシピル(18F)を用いたPET検査を実施した場合はその結果等を考慮した上で、本剤投与の可否を判断すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
アルツハイマー病による軽度認知障害患者又はアルツハイマー病による軽度から中等度の認知症患者18例(日本人5例を含む)にドナネマブ10、20、及び40mg/kg注)を単回静脈内投与したときのドナネマブの血清中濃度はおおむね用量に比例して上昇した。消失半減期は約8~10日であった。
表1)アルツハイマー病による軽度認知障害患者又はアルツハイマー病による軽度から中等度の認知症患者にドナネマブ10、20、及び40mg/kg注)を単回静脈内投与したときのドナネマブの薬物動態パラメータ
投与量例数Cmax(μg/mL)AUC0-∞(μg・h/mL)t1/2a)(日)
10mg/kg7196(17)26200(19)10.3(5.4-14.5)
20mg/kg7413(17)60500(18)9.3(5.6-16.2)
40mg/kg4910(15)112000(30)8.3(6.8-11.3)
幾何平均値(変動係数%)a)幾何平均値(範囲)
図1)アルツハイマー病による軽度認知障害患者又はアルツハイマー病による軽度から中等度の認知症患者にドナネマブ10、20、及び40mg/kg注)を単回静脈内投与したときの血清中ドナネマブ濃度推移(平均値±標準偏差)
16.1.2 反復投与
第I相~第III相試験のデータを用いて母集団薬物動態解析を実施した。ADAが陰性の患者に本剤1400mg注)を4週間ごとに反復静脈内投与したときの定常状態における薬物動態パラメータ[中央値(90%信頼区間)]は、Cmax,ssが381μg/mL(255,559)、Cmin,ssが22.2μg/mL(5.63,55.3)、AUCτ,ssが53500μg・h/mL(34900,91500)、と推定された。
16.3 分布
ドナネマブは静脈内投与後二相性で消失する。母集団薬物動態解析により推定された中央コンパートメントの分布容積は3.36L(個体間変動18.7%)、末梢コンパートメントの分布容積は4.83L(個体間変動93.9%)であった。
16.4 代謝
ドナネマブはIgG1モノクローナル抗体であり、内因性IgGと同様に異化経路によりペプチド断片及びアミノ酸に分解され、代謝酵素の阻害や誘導はないと考えられる。ドナネマブはチトクロムP450等の代謝酵素による代謝を受けないため、活性代謝物はない。
16.5 排泄
母集団薬物動態解析より推定されたクリアランスは0.0255L/h(個体間変動24.9%)、消失半減期は12.1日であった。
16.6 特定の背景を有する患者
母集団薬物動態解析によると、年齢、性別、人種、腎機能、及び肝機能はドナネマブの薬物動態に影響を及ぼさなかった。
注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人にはドナネマブ(遺伝子組換え)として初回は350mg、2回目は700mg、3回目は1050mg、その後は1回1400mgを4週間隔で、少なくとも30分かけて点滴静注する。」である。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
血液凝固阻止剤
ワルファリンカリウム
ヘパリンナトリウム
アピキサバン等
本剤との併用によりARIA-H又は脳出血が起こる可能性がある。併用時にはARIA-H及び脳出血に注意すること。本剤の副作用としてARIA-Hの報告がある。併用により左記薬剤が出血を助長する可能性がある。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
アスピリン
クロピドグレル硫酸塩等
本剤との併用によりARIA-H又は脳出血が起こる可能性がある。併用時にはARIA-H及び脳出血に注意すること。本剤の副作用としてARIA-Hの報告がある。併用により左記薬剤が出血を助長する可能性がある。
血栓溶解剤
アルテプラーゼ等
本剤との併用によりARIA-H又は脳出血が起こる可能性がある。併用時にはARIA-H及び脳出血に注意すること。本剤の副作用としてARIA-Hの報告がある。併用により左記薬剤が出血を助長する可能性がある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 Infusion reaction(17.9%注1)、アナフィラキシー(0.5%注1)
アナフィラキシーを含むinfusion reaction(紅斑、悪寒、悪心、嘔吐、発汗、頭痛、胸部絞扼感、呼吸困難、血圧変動等)があらわれることがあり、重症又は致命的な経過をたどるおそれがある。多くは本剤投与中又は投与終了後30分以内に発現する。[8.1参照]
11.1.2 アミロイド関連画像異常(ARIA)(28.8%注1),注2)、脳出血(0.5%注1),注2)
ARIA-E(15.6%注1),注2))、ARIA-H(25.5%注1),注2))があらわれることがある。また、重篤なARIA(0.5%注1),注2))があらわれることがあり、臨床試験において死亡に至った例が認められている。症候性ARIA-Eは2.8%注1),注2)で認められている。[1.2、7.5、8.2、8.2.1-8.2.4参照]
(1)ARIAの症状としては、頭痛、錯乱、悪心、嘔吐、ふらつき、めまい、振戦、視覚障害、言語障害、認知機能の悪化、意識変容、発作等がある。ARIAを疑う症状が発現した場合にはMRI検査を実施すること。臨床試験で認められたARIA-Eの発現から消失までの中央値は約8週間であった。
(2)ARIA-Eについては、必要に応じてコルチコステロイド等による支持療法を行うこと。ARIA-Hの症状が認められた場合にはARIA-Eも併発していることが多いため、ARIA-E発現時と同様の処置を行うこと。
(3)ARIAは再発することがあるため、投与を再開した場合は、注意深く患者の状態を観察するとともに、定期的なMRI検査の実施を検討すること。
(4)ARIAが再発した患者において、本剤の投与を再開した経験は限られている。
注1)AACQ試験における発現頻度の集計に基づき記載した(本剤を初回は350mg、2回目は700mg、3回目は1050mg、以降は1回1400mgを4週間隔で静脈内投与した)。
注2)MRI中央読影で認められたARIA又は脳出血及び治験担当医師により報告されたARIA又は脳出血から頻度を算出した。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

1%以上頻度不明
胃腸障害悪心注1)嘔吐
神経系障害頭痛注1)

注1)AACQ試験における発現頻度の集計に基づき記載した(本剤を初回は350mg、2回目は700mg、3回目は1050mg、以降は1回1400mgを4週間隔で静脈内投与した)。

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