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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)

用法・用量

  • 通常、成人にはオザニモドとして1~4日目は0.23mg、5~7日目は0.46mg、8日目以降は0.92mgを1日1回経口投与する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験をもつ医師のもとで、本剤による治療の有益性が危険性を上回ると判断される患者のみに使用すること。治療開始に先立ち、本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、本剤の有効性及び危険性を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で治療を開始すること。
  • 1.2 本剤の投与により心拍数の低下がみられ、特に本剤の漸増期間中に生じる可能性が高いことから、循環器を専門とする医師と連携するなど、適切な処置が行える管理下で本剤の投与を開始すること。[2.3-2.5、7.1、8.1、9.1.1、11.1.5、17.3.2参照]
  • 1.3 本剤の投与により、黄斑浮腫等の重篤な眼疾患が発現することがあるので、十分に対応できる眼科医と連携がとれる場合に使用すること。[8.6、11.1.3参照]
  • 1.4 本剤の治療を行う前に、既存治療薬(5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド等)の使用を十分勘案すること。[5.参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 活動性の感染症を有する患者[9.1.2、11.1.1参照]
  • 2.3 本剤の投与開始前6ヵ月以内に心筋梗塞、不安定狭心症、脳卒中、一過性脳虚血発作、入院を要する非代償性心不全、NYHA分類III度又はIV度の心不全を発症した患者[1.2、7.1、8.1、9.1.1、11.1.5、17.3.2参照]
  • 2.4 モビッツII型第2度房室ブロック、第3度房室ブロック又は洞不全症候群の既往歴又は合併症のある患者(ペースメーカー使用患者を除く)[1.2、7.1、8.1、9.1.1、11.1.5、17.3.2参照]
  • 2.5 重度かつ未治療の睡眠時無呼吸のある患者[1.2、7.1、8.1、9.1.1、11.1.5、17.3.2参照]
  • 2.6 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者[9.3.1、11.1.4参照]
  • 2.7 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
  • 2.8 生ワクチンを接種しないこと[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心拍数低下、心伝導異常、不整脈等を含む心疾患(禁忌対象を除く)のリスクを有する患者又はこれらのリスクを有する薬剤を投与中の患者
本剤投与による有益性と危険性を考慮した上で、投与の可否を慎重に検討すること。本剤の投与を考慮する場合には、本剤の投与開始前に12誘導心電図及びバイタルサインを測定し、初回投与後6時間は継続してバイタルサインの測定を行うこと。投与から6時間経過後に12誘導心電図を測定し、異常が認められる場合には、12誘導心電図及びバイタルサインの測定を継続すること。また、初回投与後の患者の状態に応じて、漸増期間中も12誘導心電図及びバイタルサインを測定することを検討すること。なお、本剤を休薬し、再度漸増を行う場合も、同様の測定を行うこと。本剤の投与により心拍数低下、房室伝導の遅延が生じることがあり、特に本剤の漸増期間中に生じる可能性が高い。[1.2、2.3-2.5、7.1、8.1、10.2、11.1.5、17.3.2参照]
9.1.2 感染症のある患者(活動性の感染症を有する患者を除く)[2.2、8.4、8.7、11.1.1参照]
9.1.3 黄斑浮腫の既往又は黄斑浮腫のリスク因子(ブドウ膜炎又は糖尿病の既往歴等)を有する患者
本剤投与開始前に眼底検査を含む眼科学的検査を実施し、投与中にも定期的な眼科学的検査を実施すること。[8.6、11.1.3参照]
9.1.4 重度の呼吸器疾患を有する患者
症状が増悪するおそれがある。[15.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
投与しないこと。重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。血中濃度が上昇するおそれがある。また、肝機能障害がさらに悪化するおそれがある。[2.6、11.1.4参照]
9.3.2 軽度又は中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類A又はB)のある患者
投与しないことが望ましい。やむを得ず投与する場合には、用量を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。血中濃度が上昇するおそれがある。また、肝機能障害がさらに悪化するおそれがある。[7.3、8.3、11.1.4、16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。本剤投与中に妊娠が確認された場合には直ちに投与を中止すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ウサギにおいて、オザニモドの臨床曝露量の5倍以上の曝露量で、胚・胎児死亡、骨化遅延、並びに大血管及び骨格の異常が認められている。[2.7、9.4参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中への本剤の移行、授乳児への影響及び乳汁産生への影響に関するデータはないが、ラットで本剤及びその代謝物が乳汁中へ移行することが認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では、生理機能が低下している。

8.重要な基本的注意

8.1 心拍数低下、房室伝導の遅延が生じることがあるため、以下に注意すること。[1.2、2.3-2.5、7.1、9.1.1、11.1.5、17.3.2参照]
8.1.1 本剤の投与開始前に12誘導心電図により心伝導異常の有無を確認し、本剤の投与の可否を慎重に検討すること。
8.1.2 患者又はその家族等に対し、本剤投与後に失神、浮動性めまい、息切れなどの症状がみられた場合には主治医に連絡するよう指導すること。特に本剤の漸増期間中は、心拍数低下、房室伝導の遅延が生じる可能性が高いため、十分注意すること。
8.2 本剤の漸増期間中には、めまい、ふらつきがあらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の作業をする際には注意させること。[11.1.5参照]
8.3 肝機能障害があらわれることがあるため、本剤投与開始前に肝機能検査(ALT、AST、ビリルビン等)を行い、以後も定期的な肝機能検査を行うこと。[9.3.2、11.1.4参照]
8.4 本剤の薬理作用により循環血中のリンパ球数が減少するため、本剤投与開始前に血液検査(血球数算定等)を行うとともに、投与中には定期的に血液検査(血球数算定等)を行うこと。本剤投与開始後、リンパ球数が200/mm3未満となった場合には投与を中断して、患者の状態を慎重に観察し、感染症の徴候に注意すること。投与再開は、リンパ球数500/mm3以上を目安とし、治療上の有益性と危険性を慎重に評価した上で判断すること。[9.1.2、11.1.1、11.1.6参照]
8.5 本剤投与中に水痘又は帯状疱疹を発症すると重症化するおそれがあるため、本剤投与開始前に水痘又は帯状疱疹の既往や予防接種の有無を確認し、必要に応じてワクチン接種を考慮すること。接種する場合は、ワクチンの効果が十分に得られる期間が経過した後に本剤の投与を開始すること。
8.6 黄斑浮腫があらわれることがあるため、本剤投与中は眼底検査を含む定期的な眼科学的検査を実施すること。患者が視覚障害を訴えた場合にも眼科学的検査を実施すること。[1.3、9.1.3、11.1.3参照]
8.7 投与中止後の本剤の消失には3ヵ月を要することがあるため、この期間中は感染症等の副作用の発現に対する観察を継続すること。[7.5、9.1.2、11.1.1参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.2 薬剤投与時の注意
本剤のカプセルを噛んだり、開けたりせずにそのまま飲み込んで服用すること。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤投与開始時に漸増投与を行わなかった場合、心拍数の低下が生じる可能性が高くなることから、用法・用量を遵守すること。[1.2、2.3-2.5、8.1、9.1.1、11.1.5、17.3.2参照]
7.2 本剤の休薬期間が以下に該当する場合は、休薬前と同一の用量で投与再開した場合に一過性の心拍数低下が生じる可能性があるため、0.23mgから投与を再開し、用法・用量のとおり漸増すること。
・投与開始後14日以内に1日以上の休薬
・投与開始後15~28日の間に7日間を超えて連続して休薬
・投与開始後28日を経過した後に14日間を超えて連続して休薬
7.3 軽度又は中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類A又はB)のある患者へは投与しないことが望ましい。やむを得ず投与する場合には、1~4日目は0.23mg、5~7日目は0.46mgを1日1回、8日目以降は1回0.92mgを2日に1回経口投与すること。[9.3.2、16.6.2参照]
7.4 本剤の投与開始後12週時点で治療反応が得られない場合は、他の治療への切り替えを考慮すること。
7.5 感染症のリスクが増加する可能性があるため、本剤とステロイドを除く免疫抑制剤(タクロリムス、シクロスポリン、アザチオプリン等)、生物製剤、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤等との併用を避けること。本剤とこれらの薬剤を併用した臨床試験は実施していない。また、投与中止後の本剤の消失には3ヵ月を要することがあるため、本剤投与終了から3ヵ月以内にこれらの薬剤を投与する場合は、患者の状態をより慎重に観察し、感染症等の副作用の発現に十分注意すること。[8.7、11.1.1参照]
7.6 スターターパックに含まれるカプセル(0.23mgカプセル及び0.46mgカプセル)と0.92mgカプセルの生物学的同等性は示されていないため、1~7日目はスターターパック、8日目以降は0.92mgカプセルを使用し、互換使用を行わないこと。

5.効能又は効果に関連する注意

過去の治療において、他の薬物療法(5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド等)で適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に本剤を投与すること。[1.4参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人(33例)にオザニモド0.23mgを低脂肪食摂取後に単回経口投与したときのオザニモド及び主要活性代謝物CC112273の薬物動態パラメータを下表に示す。
測定対象時点オザニモド投与量薬物動態パラメータ
Cmax(pg/mL)Tmax(h)AUC(0-24h)(pg・h/mL)
オザニモド投与1日目0.23mg(N=33)39.0±10.112.0[6.03-16.0]592±163
CC112273投与1日目0.23mg(N=33)102±17.816.0[8.00-24.0]1555±306
平均値±標準偏差、※Tmaxは中央値[範囲]
16.1.2 反復投与
日本人健康成人(33例)にオザニモド0.46、0.92、1.84mg注)を4~10日間の漸増期間を設け1日1回、28日間反復経口投与したときのオザニモド及びCC112273の薬物動態パラメータを下表に示す。
測定対象時点オザニモド投与量薬物動態パラメータ
Cmax(pg/mL)Tmax(h)AUC(TAU)(pg・h/mL)
オザニモド投与28日目0.46mg(N=11)126±22.010.0[6.00-14.0]2290±450
0.92mg(N=10)300±81.59.00[0.00-14.0]5587±1405
1.84mg(N=12)599±1158.00[6.00-14.0]11212±2471
CC112273投与28日目0.46mg(N=11)1972±62610.0[8.00-14.0]42137±13123
0.92mg(N=10)4108±119610.0[0.00-16.0]86856±24446
1.84mg(N=12)7998±176010.1[8.00-24.0]167850±37765
投薬スケジュール
[0.46mg反復投与]1~4日目は0.23mg、5~28日目は0.46mgを1日1回経口投与[0.92mg反復投与]1~4日目は0.23mg、5~7日目は0.46mg、8~28日目は0.92mgを1日1回経口投与[1.84mg反復投与]1~4日目は0.23mg、5~7日目は0.46mg、8~10日目は0.92mg、11~28日目は1.84mgを1日1回経口投与平均値±標準偏差、※Tmaxは中央値[範囲]
母集団薬物動態解析から推定された日本人の潰瘍性大腸炎患者にオザニモド0.92mgを1日1回反復経口投与したときの定常状態におけるオザニモド及びCC112273の薬物動態パラメータを下表に示す。オザニモドの血漿中濃度は投与開始後7日以内に定常状態に到達し、累積率は約2であった。CC112273の血漿中濃度は投与開始後約57日で定常状態に到達し、累積率は約18であった。
測定対象薬物動態パラメータ
Cmax(pg/mL)AUC(TAU)(pg・h/mL)
オザニモド(N=127)454±82.48280±1560
CC112273(N=131)8270±3990195000±95200
平均値±標準偏差
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人(24例)にオザニモド0.92mgを高脂肪食又は低脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、空腹時と比較してオザニモドのCmax及びAUCに食事の影響は認められなかった(外国人データ)。
16.3 分布
オザニモドの見かけの分布容積(Vz/F)は5590Lであり、組織に広範囲に分布することが示された(外国人データ)。オザニモド(500~1,000nmol/L)のヒト血漿蛋白結合率は97.8~98.7%であった。CC112273及び活性代謝物CC1084037(いずれも500nmol/L)のヒト血漿蛋白結合率は、それぞれ99.1%及び99.3%であった。
16.4 代謝
オザニモドはアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)/アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)及びCYP3A4による一次代謝によりそれぞれC-酸化体及びN-脱アルキル化体へと代謝され、N-脱アルキル化体はN-アセチルトランスフェラーゼ(NAT)-2によりN-アセチル化体が生成するか、MAO-Bにより脱アミノ化されて主要活性代謝物CC112273が生成する。CC112273はカルボニルレダクターゼ(CBR)により還元されて活性代謝物CC1084037が生成するか、CYP2C8による酸化を受けC-酸化体が生成する。CC1084037はアルド・ケトレダクターゼ(AKR)1C1/1C2及び/又は3β-及び11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)により速やかに酸化されてCC112273となる。CC112273とCC1084037は酸化還元反応により相互変換される。さらに、オキサジアゾール環の嫌気性還元代謝による多くの不活性代謝物の形成に腸内細菌叢が関与する。
健康成人(28例)にオザニモド1.84mg注)を反復投与したとき、オザニモド、CC112273及びCC1084037の循環血中の曝露量はそれぞれ活性薬物の総曝露量の6%、73%及び15%であり、オザニモド、CC112273及びCC1084037を合わせると循環血中の活性薬物の総曝露量の約94%を占めた(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人(6例)に14C標識したオザニモド0.92mgを単回経口投与したとき、投与放射能の約26%及び37%がそれぞれ投与240時間後までの尿中及び投与504時間後までの糞中に、主に不活性代謝物として排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
末期腎不全(ESRD)の被験者(8例)及び腎機能正常被験者(8例)にオザニモド0.23mgを単回経口投与したとき、腎機能障害がオザニモド及びCC112273の薬物動態に及ぼす影響は下表のとおりであった(外国人データ)。
測定対象薬物動態パラメータの幾何平均比[90%信頼区間]
末期腎不全被験者/腎機能正常被験者
CmaxAUC(TAU)
オザニモド0.922[0.682-1.247]1.270[0.951-1.696]
CC1122730.781[0.666-0.917]0.766[0.606-0.969]
16.6.2 肝機能障害患者
軽度(Child-Pugh分類A)及び中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害被験者(各8例)並びに肝機能正常被験者(10例)にオザニモドを投与1~4日目に0.23mg、5~7日目に0.46mg、8日目に0.92mgを1日1回反復経口投与したとき、肝機能障害が投与8日目のオザニモド、CC112273及びCC1084037の薬物動態に及ぼす影響は下表のとおりであった(外国人データ)。重度の肝機能障害被験者(Child-Pugh分類C)における試験は実施していない。[7.3、9.3.2参照]
肝機能障害の程度測定対象薬物動態パラメータの幾何平均比[90%信頼区間]
肝機能障害被験者/肝機能正常被験者
総Cmax
非結合形Cmax
総AUC(LAST)
非結合形AUC(LAST)
軽度肝機能障害被験者
(Child-Pugh分類A、スコア5~6)
オザニモド1.6338[0.9660-2.7633]
1.8648[1.0375-3.3519]
1.5993[0.7704-3.3197]
1.8253[0.8197-4.0646]
CC1122731.3163[0.8703-1.9908]
1.4745[0.8715-2.4947]
1.9767[1.0240-3.8155]
2.2143[1.0661-4.5988]
CC10840371.3085[0.8819-1.9414]
1.4526[0.9038-2.3345]
2.0695[0.8946-4.7872]
2.2974[0.9324-5.6610]
中等度肝機能障害被験者
(Child-Pugh分類B、スコア7~9)
オザニモド1.3569[0.8252-2.2310]
1.6891[0.9572-2.9809]
1.1718[0.5799-2.3679]
1.4587[0.6828-3.1164]
CC1122730.9222[0.6338-1.3417]
1.3371[0.8478-2.1088]
1.3769[0.8782-2.1586]
1.9964[1.1955-3.3337]
CC10840371.0321[0.7374-1.4447]
1.3577[0.9420-1.9568]
1.6144[0.9823-2.6534]
2.1236[1.1815-3.8170]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 併用薬が本剤の薬物動態に及ぼす影響
オザニモドは複数の生体内変換経路を介して広範に代謝され、一部CYP3A4により代謝される。主要活性代謝物CC112273はMAO-Bにより生成し、その代謝にはCYP2C8が関与する。オザニモドはP-gpの基質である。
薬物相互作用試験の結果は下表のとおりであった(外国人データ)。[10.、10.2参照]
併用薬の存在下におけるオザニモド及び活性代謝物の薬物動態パラメータの変化
併用薬併用薬投与量オザニモド投与量測定対象薬物動態パラメータの幾何平均比
[90%信頼区間]
併用/非併用
CmaxAUC(LAST)又はAUC(INF)
シクロスポリン
(P-gp/BCRP阻害薬)
600mg
単回
0.46mg
単回
オザニモド1.008
[0.881-1.153]
1.193
[0.997-1.427]
CC1122730.865
[0.746-1.003]
1.020
[0.850-1.223]
CC10840370.992
[0.865-1.139]
1.109
[0.714-1.724]
ゲムフィブロジル(国内未承認)
(CYP2C8阻害薬)
600mg
1日2回
0.46mg
単回
オザニモド1.083
[0.9455-1.2402]
0.972
[0.8499-1.1110]
CC1122731.265
[1.0782-1.4830]
1.470
[1.1083-1.9502]
CC10840371.353
[1.1368-1.6096]
1.687
[1.2545-2.2697]
イトラコナゾール
(CYP3A/P-gp阻害薬)
200mg
1日1回
0.92mg
単回
オザニモド1.026
[0.8984-1.1719]
1.125
[0.9702-1.3048]
CC1122730.786
[0.6942-0.8889]
0.945
[0.8112-1.1016]
CC10840370.775
[0.6649-0.9041]
0.883
[0.7547-1.0322]
リファンピシン
(CYP3A/2C8誘導薬)
600mg
1日1回
0.92mg
単回
オザニモド0.789
[0.6759-0.9199]
0.758
[0.6409-0.8970]
CC1122730.868
[0.7467-1.0093]
0.402
[0.3193-0.5057]
CC10840370.848
[0.7201-0.9981]
0.446
[0.3456-0.5767]
母集団薬物動態解析より、潰瘍性大腸炎患者にオザニモド0.92mgを1日1回反復投与したときの定常状態におけるCC112273のAUC(TAU)は、プレドニゾン又はプレドニゾロンの非併用時及び併用時でそれぞれ93400pg・h/mL及び97800pg・h/mLと推定された。
16.7.2 本剤が併用薬の薬物動態に及ぼす影響
オザニモドが併用薬の薬物動態に及ぼす影響は以下のとおりであった(外国人データ)。
オザニモドの存在下における併用薬の薬物動態パラメータの変化
併用薬併用薬投与量オザニモド投与量薬物動態パラメータの幾何平均比
[90%信頼区間]
併用/非併用
CmaxAUC(INF)
エチニルエストラジオール
(経口避妊薬)
35μg
単回
0.92mg
1日1回
0.999
[0.937-1.065]
0.948
[0.917-0.981]
ノルエチステロン
(経口避妊薬)
1mg
単回
0.92mg
1日1回
0.924
[0.839-1.017]
0.922
[0.873-0.974]
16.7.3 プソイドエフェドリン
健康成人(56例)に、プラセボ又はオザニモド1.84mg注)を10日間の漸増期間を設け1日1回、30日間反復経口投与し、投与30日目にプソイドエフェドリン60mgを併用で単回経口投与し、オザニモドとプソイドエフェドリンの併用投与が血圧に及ぼす影響を評価した。オザニモドとプソイドエフェドリンを併用投与したときとプソイドエフェドリンを単独投与したときの収縮期血圧及び拡張期血圧の最小二乗平均値の差[90%信頼区間]は、それぞれ0.86[-1.81,3.53]mmHg及び0.64[-1.23,2.51]mmHgであった(外国人データ)。
16.7.4 プロプラノロール
健康成人(18例)に、プロプラノロール80mgを1日1回5日間反復経口投与、投与5日目にオザニモド0.23mgを併用で単回経口投与し、オザニモドとプロプラノロールの併用投与の陰性変時作用を評価した。プロプラノロールの定常状態時にオザニモドを併用投与したときの投与12時間までの心拍数の最低値の最小二乗平均値について、オザニモド単独投与時との差[95%信頼区間]は0.47[-2.18,3.12]bpm、プロプラノロール単独投与時との差[95%信頼区間]は-3.60[-5.09,-2.12]bpmであった(外国人データ)。オザニモド0.92mgを反復投与したときの定常状態における評価並びにオザニモド、プロプラノロール及びカルシウムチャネル拮抗薬の3剤を併用したときの評価は実施していない。[10.2参照]
16.7.5 ジルチアゼム
健康成人(18例)に、ジルチアゼム240mgを1日1回5日間反復経口投与、投与5日目にオザニモド0.23mgを併用で単回経口投与し、オザニモドとジルチアゼムの併用投与の陰性変時作用を評価した。ジルチアゼムの定常状態時にオザニモドを併用投与したときの投与12時間までの心拍数の最低値の最小二乗平均値について、オザニモド単独投与時との差[95%信頼区間]は-1.39[-3.17,0.39]bpm、ジルチアゼム単独投与時との差[95%信頼区間]は-4.60[-7.49,-1.71]bpmであった(外国人データ)。オザニモド0.92mgを反復投与したときの定常状態における評価並びにオザニモド、ジルチアゼム及びβ遮断薬の3剤を併用したときの評価は実施していない。[10.2参照]
注)本剤の承認された用法及び用量は「オザニモドとして1~4日目は0.23mg、5~7日目は0.46mg、8日目以降は0.92mgを1日1回経口投与」である。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
生ワクチン
乾燥弱毒性麻しんワクチン
乾燥弱毒性風しんワクチン
乾燥BCG等
[2.8参照]
生ワクチンを接種すると発症するおそれがある。本剤の投与中及び投与終了後最低3ヵ月間は接種を避けること。生ワクチンによる免疫獲得が必要な場合は、本剤投与開始1ヵ月以上前に接種すること。本剤は免疫系に抑制的に作用するため、生ワクチンを接種すると、病原性をあらわすおそれがある。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP2C8阻害作用を有する薬剤
クロピドグレル等
[16.7.1参照]
本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇し、副作用が増強する可能性がある。これらの薬剤と併用する際には注意すること。本剤の活性代謝物の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。
CYP2C8誘導作用を有する薬剤
リファンピシン等
[16.7.1参照]
本剤の活性代謝物の血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。これらの薬剤と併用しないことが望ましい。本剤の活性代謝物の代謝が促進され血中濃度が低下する。
MAO阻害剤
セレギリン等
本剤の活性代謝物の血中濃度が変動するおそれがある。これらの薬剤と併用しないことが望ましい。本剤の活性代謝物の生成が阻害され血中濃度が低下する、又は本剤の活性代謝物の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。
QT延長作用のある薬剤
クラスIa抗不整脈剤
キニジン
プロカインアミド等
クラスIII抗不整脈剤
アミオダロン
ソタロール等
[9.1.1、11.1.5参照]
心拍数の減少により、Torsades de pointes等の重篤な不整脈を生じるおそれがある。本剤の投与開始時に、これらの薬剤と併用しないことが望ましい。本剤の投与により心拍数が減少するため、併用により不整脈を増強するおそれがある。
心拍数を低下させる可能性のある薬剤
ジゴキシン等
[9.1.1、11.1.5参照]
心拍数の減少により、徐脈や心ブロックが発現する可能性がある。本剤の投与開始時に、これらの薬剤と併用しないことが望ましい。心拍数減少に対して潜在的な相加作用がある。
β遮断剤
プロプラノロール等
カルシウムチャネル拮抗剤
ジルチアゼム等
[9.1.1、11.1.5、16.7.4、16.7.5参照]
心拍数の減少により、徐脈や心ブロックが発現する可能性がある。本剤の投与開始時に、これらの薬剤と併用する際には注意すること。なお、本剤の投与開始時に、β遮断剤とカルシウムチャネル拮抗剤との3剤併用はしないことが望ましい。心拍数減少に対して潜在的な相加作用がある。
不活化ワクチン本剤の投与中及び投与終了後3ヵ月間はワクチン接種の効果が減弱するおそれがある。本剤は免疫系に抑制的に作用するため、ワクチン接種の効果が減弱する可能性がある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 感染症
帯状疱疹(2.8%)、口腔ヘルペス(0.6%)等の感染症があらわれることがある。[2.2、7.5、8.4、8.7、9.1.2参照]
11.1.2 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
本剤の投与中及び投与中止後は患者の状態を十分に観察すること。意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害、視覚障害等のPMLが疑われる症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.3 黄斑浮腫(0.6%)
異常が認められた場合には眼科学的検査を実施すること。黄斑浮腫が確認された場合には、本剤の投与を中止すること。[1.3、8.6、9.1.3参照]
11.1.4 肝機能障害(4.5%)
悪心、嘔吐、腹痛、疲労、食欲不振、黄疸、褐色尿等の肝機能障害が疑われる症状があらわれた場合には、肝機能検査を実施し、肝機能障害が確認された場合は、本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[2.6、8.3、9.3.1、9.3.2参照]
11.1.5 徐脈性不整脈(1.7%)
本剤投与後に徐脈性不整脈に関連する徴候又は症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。[1.2、2.3-2.5、7.1、8.1、8.2、9.1.1、10.2、17.3.2参照]
11.1.6 リンパ球減少(10.2%)[8.4参照]
11.1.7 可逆性後白質脳症症候群(頻度不明)
頭痛、意識障害、痙攣、視力障害等の症状があらわれた場合は、MRI等による画像診断を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

1%以上1%未満頻度不明
感染症および寄生虫症上咽頭炎
免疫系障害過敏症(発疹、蕁麻疹を含む)
神経系障害頭痛
血管障害高血圧
一般・全身障害および投与部位の状態末梢性浮腫
臨床検査γ-GTP増加、ALT増加努力呼気量減少、努力肺活量減少
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