虚血性心不全は、心臓の筋肉を養っている冠動脈が動脈硬化によって狭窄や閉塞をきたし、心筋が必要とする酸素や栄養を供給できないため、心臓のポンプ機能が障害を起こして心不全症状を生じる病気です。

症状としては、息切れ、疲れやすさ、動悸、むくみなどがみられます。進行すると、心不全症状だけでなく、狭心症や心筋梗塞を発症することもあります。

虚血性心不全、特にいわゆる虚血性心筋症は、他の原因による心不全に比べても治療効果に限度があることが多く、予後も不良です。

検査では、血液検査、心電図、ホルター心電図(心電図を携帯して調べる)、冠動脈CT検査、心臓核医学検査(ラジオアイソトープを使用する心シンチ)、MRI検査などを行います。冠動脈再開通療法の必要性に応じて、冠動脈造影検査を実施することもあります。

治療は生活習慣の是正と薬物療法です。

定期的に体重を小数点第1位までチェックし、朝晩の血圧を測定します。医療機関の検査データを理解して、管理目標を決め、達成を目指して治療します。

早朝から起床後3時間は、血圧の変動や血液凝固促進、薬効不安定などによって心不全が増悪し、心筋虚血が発症しやすいので安静に留意しましょう。散歩や運動も起床後3時間は避けましょう。

高血圧や脂質異常症、糖尿病に注意し、禁煙やメタボ対策を行い、管理目標を理解して治療に取り組む必要があります。

ご本人だけでなく家族も病気とその治療について理解し、担当医とともに治療に取り組みましょう。

薬物療法などで改善しない場合には冠動脈カテーテル治療や心臓の手術(冠動脈バイパス手術、左室縮小術など)を行います。