主な症状は、不規則な脈です。多くの場合、頻脈になります。メインのポンプである心室に血液が十分に送り込めなくなるため、心不全を起こしやすくなったり、心房の中に血栓ができて脳梗塞を起こしやすくなったりします。
心臓にできた血栓が脳に運ばれ脳梗塞症を発症すると、死に至ることが多く、生命をとりとめたとしても重度の後遺症が残りやすいです。そのため心房細動の診療は、血栓症予防のために抗凝固療法を適切に行われることが優先されます。
弁膜症、心筋症、甲状腺機能亢進症、高血圧症などが背景にあって発症することがあります。これらの検査をし、必要に応じて治療が行われます。
高齢になるほど発症しやすいことがわかっています。特に心臓の病気がなくても90歳まで生きれば4人に1人の割合で発症するとのデータがあります。日本成人の健診データでは、心房細動の罹患率は約0.5%で、2050年には1%を超えると推測されています。心房細動はけっして特別な人だけが罹患する病気ではなくなりつつあります。「おそろしい病気にかかってしまった」と深刻に思わずに、「心臓の老化現象だからうまく付き合っていこう」と考えるとよいでしょう。
心房細動は、心房という心臓のサブポンプが高頻度に震える不整脈をいいます。
心房細動は、脳梗塞の予防がきちんとできていれば、不整脈が持続したからといって基本的に生命にかかわることはありません。過剰に心配しないようにしましょう。
症状がつらいときには遠慮なく病院に連絡し、医師の指示を仰いでください。
心房細動は必ずしも、抗不整脈薬を飲めば抑え込めるというタイプの不整脈ではありません。むしろ高血圧症、糖尿病などの生活習慣病や、飲酒、喫煙、ストレスといった生活スタイルと密接に関連しています。血圧や血糖をしっかりとコントロールするとともに、生活全般を見直すことが重要です。
出現頻度や持続時間をなるべく記録し、普段の外来のときに医師に提示しましょう。