心室で異常な電気刺激が生じ、突然脈拍が速くなるのを心室頻拍といいます。発作が30秒以上続く場合を持続性心室頻拍と呼びます。

持続性心室頻拍の予後や治療法は、心疾患をもっているかどうか、またその重症度(特に左室機能)によって大きく異なります。

心機能の低下を伴う場合は、心不全の治療も重要です。

重症な場合でも最近では、ICD(植込型除細動器)や頻拍に関わる組織を焼き切るカテーテルアブレーションといった治療法の発展により、治療が可能になっています。

ベラパミルという薬剤が有効を示すベラパミル感受性心室頻拍の場合、生命予後は良好で、突然死に至ることはありません。

激しい動悸や失神が生じた場合やICD植え込み患者さんでショックを自覚した場合は、できるだけ早く主治医に連絡してください。

心筋梗塞や心筋症などの器質的心疾患をもっている患者さんは、労作時の息切れ、体重増加、浮腫(むくみ)などが出ないように注意してください。

抗不整脈薬・アミオダロンを内服している患者さんで、咳、息切れ、微熱などが続いたときはアミオダロン誘発性肺炎の可能性があります。早めに主治医に連絡してください。

ICD植え込み患者さんで、植え込み部分の皮膚が赤くなったり、腫れたり、痛みがあるときは、すぐに主治医に連絡してください。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 心筋梗塞や心筋症などの器質的心疾患をもっている患者さんは、急な、あるいは無理な運動や暴飲暴食を避けましょう。
  • 規則正しい生活を送りましょう。
  • 処方された薬は指示どおりにきちんと服用しましょう。
  • 定期的に外来を受診しましょう。
  • 塩分や水分を過剰に摂取しないようにしましょう。
  • 過剰な精神的・肉体的ストレスは避けましょう。
  • ICD植え込み患者さんは、盗難防止装置やIH調理機器など強い電磁波を受けないようにしましょう。
  • 失神を起こしたことがある患者さんは、車の運転は原則禁止です。
  • ただし、失神の既往がないけれどICDを予防的に植え込んでいる患者さんの場合(一次予防)は1カ月間、次の発作に備えて植え込む患者さんの場合(二次予防)は2カ月間、発作が起こらなければ、運転の許可が下りることがあります。許可申請には日本不整脈学会のICD/CRT履修書を取得した医師が作成した診断書が必要です。タクシーやバスなどの職業運転は許可されません。