心臓は2枚の心膜に包まれています。この2枚の心膜の間は心嚢(しんのう)と呼ばれ、その中は心嚢液で満たされています。

心タンポナーデは、何らかの原因で心嚢液がたまり、心臓が拡張できなくなっている状態です。その結果、心臓が血液を全身に送ったり、全身から血液を戻したりするポンプの役を果たすことができず、生命は非常に危険な状態にあります。

心臓超音波検査を行い、心嚢液の量と心臓への圧迫の程度を調べます。解離性大動脈瘤や外傷などによる心タンポナーデの場合は、CT検査も行います。

治療は、心嚢穿刺(せんし)または心膜切開術を行います。

心嚢穿刺は、心エコーを用いて、臓器を傷付けないように心臓や心嚢液の貯留部位を確認しながら心嚢に針を刺し、心嚢液を吸引し、心嚢の減圧を行います。

心嚢穿刺は、危険を伴う手技で、ときには心筋損傷や冠動脈損傷、肝臓損傷、気胸などの合併症を起こすことがあります。

心嚢液が少量であったり、再発を繰り返すような場合は、心膜切開・開窓術などによる外科手術が行われます。

解離性大動脈や急性心筋梗塞後の心破裂などによる心タンポナーデの場合には、原因疾患の治療も必要なため、一般に外科的手術が選択されます。