大動脈の壁は、内膜、中膜、外膜の3層から構成されています。何からの原因で内膜に傷がつくと、そこから血液が入り込み、中膜が引き裂かれ、内膜と外膜の間に新たに血液の通り道(偽腔)ができる病気を大動脈解離といいます。

大動脈の壁が裂けるときに、激烈な痛みが生じます。ときには生命にかかわることもあります。

10万人あたり3~5人に発症する比較的まれな病気です。一方、死亡率は13%と高いのが特徴です。

心臓の近くで大動脈が裂けている場合を「A型」、そうでない場合には「B型」に分類されます。また、偽腔に血流が流れている場合は「開存型」、すでに血液が固まっている場合は「閉塞型」「ULP型」に分けられ、これらを組み合わせて分類されます。

高血圧が発症に関与しているといわれますが、はっきりしたことはわかっていません。

大動脈の別のところで同じことが起こる可能性は全くないわけではありません。

最終的な診断はCT検査で行われます。

治療は一般的に、開存A型は手術、閉塞A型は症例によっては手術、B型解離では破裂もしくは内臓への血流が不良であればステントグラフト内挿もしくは手術、そうでなければ安静を保ちながら血圧を下げて経過をみます。

診断がついた時点で入院となります。入院期間の目安は2週間~1カ月です。

入院当初は絶対安静が必要ですが、数日でだんだん動けるようになります。

退院後も血圧は130mmHg程度にコントロールしましょう。

退院後の経過次第では手術が必要になることがあります。