腎臓の尿細管は、血液中から酸を取り除き尿中に排出する働きをしています。尿細管性アシドーシスは、この酸の排泄がうまくいかず、血液中の酸の濃度が上昇し、からだが酸性に偏る(アシドーシス)病気です。
この病気は、血液中のカリウム濃度が低くなる(低カリウム血症)1型、2型、カリウム濃度が上昇する(高カリウム血症)の4型に分かれます。
1型、2型では、神経系に異常をきたし、筋力低下、反射の低下、麻痺などが現れます。特に1型では腎臓結石が生じることがあり、腎臓の細胞が壊れ、腎不全に移行することがあります。
4型では、まれにカリウム濃度が非常に高くなったときに、不整脈や筋麻痺が起こることがあります。
原因は、自己免疫疾患や、重金属や薬物による中毒、遺伝などさまざまです。
根本的治療法がないので対症療法になります。治療法は、主としてアルカリやカリウムを補正する薬物療法を行い、アシドーシスや血液カリウム濃度を是正します。
1型の場合は、アルカリ製剤の投与によって低カリウム血症の症状を取り、腎結石や腎石灰化、腎不全の進行を食い止めます。
4型では飲食によるカリウムの摂取を制限し、イオン交換樹脂などを投与して高カリウム血症を防ぎます。
子どもの場合は成長障害を防ぐことも大事です。