腎血管性高血圧症は、腎臓に血液を供給する腎動脈が細くなり、腎臓からレニンという血圧を上昇させる物質(昇圧物質)が産生されて、高血圧を生じる病気です。通常の高血圧とは病態が違います。
この病気の原因としては、(1)動脈硬化や線維筋性異形成(動脈の壁をつくっている平滑筋がうまくつくられなくなること)により腎動脈そのものが細くなる病態と、(2)腎動脈は大動脈から分岐しますが、その大動脈のほうに病変がある場合があります。
原因を明らかにするために、腹部超音波検査による腎動脈の評価や造影剤を用いたCT検査、MR検査などを施行します。補助的に入院の上で、安静採血などによるホルモン検査や降圧薬を用いた負荷検査を行うことがあります。
最終的にカテーテル検査で、器質的・機能的な腎動脈に狭窄がみられないかを確認します。
治療は病状によって異なり、血管にカテーテルを入れて血管を広げるカテーテル治療が行われる場合と内服薬治療のみの場合があります。
適切な血圧を維持するためには、指示された薬剤を継続して内服することが大切です。
家庭では毎日血圧を測定し、急に血圧が上昇するときは担当医に連絡しましょう。
動脈硬化を進展させないために、肥満や脂質異常症、糖尿病を改善し、生活習慣を見直しましょう。