脳の細い動脈である穿通枝(せんつうし)動脈に高血圧により動脈硬化などの病変が生じ、血管が切れて出血したり、微細小動脈にできた瘤が破裂したりして、脳の中に血の塊(血腫)ができる病気です。脳卒中全体の約6分の1を占めます。

血腫拡大を食い止めるために、高度の高血圧には降圧薬、急性胃潰瘍が発生したときは吐血や下血を防ぐ抗潰瘍薬、脳ヘルニアに対しては脳浮腫治療薬、けいれんには抗てんかん薬が投与されます。

発症して24時間以内、特に6時間以内は血腫が拡大するリスクが高く、症状は時間とともに進行し、しばしば意識障害や片麻痺などが悪化することがあります。また、脳室へ血腫が及んだり、脳幹や延髄など呼吸や循環をつかさどる重要な部位が圧迫される脳ヘルニアが引き起こされたりし、病状をさらに増悪させます。

死亡率は約15%、強い麻痺は後遺症として残ることが多い。

出血した場所が大脳の基底にある被殻(ひかく)、皮質下、小脳などで、血腫が拡大しているときは、開頭して緊急手術を行います。手技としては、直達血腫除去手術、内視鏡的血腫吸引術、脳室の脳脊髄液の通過障害に対する脳室ドレナージなどがあります。

発症して48時間以上が経ち、しびれ、麻痺などの神経学的な症候が安定すれば、ベッドサイドでリハビリテーションが開始されます。意識が回復し、物を飲み下す力があれば、経口摂取を開始しリハビリテーションは本格化します。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 塩分は1日6g以下に抑えましょう。
  • 野菜や果物を多く摂取しましょう。
  • 禁酒・節酒に努めましょう。
  • 冬の外出には帽子、マフラー、コート、靴下、ズボン下を着用しましょう。
  • 寒い時期には浴室やトイレに暖房を入れ、気温差に注意しましょう。
  • 自己判断で降圧薬をやめてはいけません。