内頚動脈狭窄症とは、顎の付近を走る大脳に血液を送る内頚動脈が動脈硬化により細くなる状態です。食生活の洋風化により増えている病気です。

診断は、CTやMRIで脳梗塞の有無や頚動脈の狭窄の程度などを調べて行います。

放置しておくと、狭窄部にコレステロールなどのプラークがたまり、血栓が付きやすくなります。それが突然はがれて脳に飛び、脳梗塞や一過性の脳虚血発作を起こすことがあります。その結果、運動障害や知覚障害、言語障害、顔面下半分の麻痺などが生じます。

治療法に、頚動脈血栓内膜剥離術と頚動脈ステント留置術があります。頚動脈血栓内膜剥離術は頚部を開き、頚動脈にたまったプラークを取り出す手術です。ただし、手術の際、血流を一時止めるので、これに脳が耐えられるかどうか、脳波などの検査を行う必要があります。また頚動脈ステント留置術は狭窄部をバルーンで広げ、ステントを留置し再狭窄を防ぐ手術です。

手術中の合併症として、血栓が脳に飛んだり、血流の一時的遮断により脳梗塞を起こしたり、術後頚動脈が詰まったり、創部に出血したりすることがあります。術前に脳血流が低下している場合は、術後、血液が急によく流れ、けいれんや脳出血の原因になることもあります。心筋梗塞を起こす場合もあります。

術後も、抗血小板薬を継続して服用します。また、動脈硬化の進行を防ぐために、高血圧症、脂質異常症、糖尿病の治療もしっかり行うことも大切です。

手術後に、再び頚動脈が狭窄することがあります。3~6カ月ごとに頚動脈エコーなどの検査を行い、狭窄していないかをチェックする必要があります。