脳の血管は、動脈から毛細血管、そして静脈へとつながります。しかし、脳動静脈奇形の場合は、毛細血管を介さずに、動脈と静脈が直接つながっています。

先天性の病気で、5~10万人に1人程度みられ、30代にもっとも多く見つかります。

症状としては第一に脳出血です。出血率は年間3~6%にみられます。脳出血を起こした場合、軽い症状では頭痛ですが、重い場合は意識障害を起こし、命にかかわるようなことも出てきます。その他、けいれんや頭痛が起きたり、雑音が聞こえるなどの症状を伴います。

標準的な治療法には開頭手術、定位放射線治療(ガンマナイフ)、塞栓術があります。開頭手術による治癒率は約95%ですが、手術可能な範囲が限られます。

病変が3センチ以下で、手術では合併症の危険が高いと思われる場合には、放射線治療であるガンマナイフを行います。2泊3日の治療ですが、病変が大きな場合は半年ほどの期間をとって2~3回に分けて行います。治癒率は3年間で80~90%です。閉塞後の出血リスクは年間0.3%程度に減少、悪性腫瘍の合併症率は1/3000以下です。

その他、血管内に医療器具を挿入して行う血管内治療もありますが、これは手術やガンマナイフと組み合わせて行われることが多く、症状を改善するために行われます。治癒率は4~20%、合併症率は10~30%です。