多発性硬化症は、中枢神経をおおう髄鞘(ずいしょう)が壊れて、中枢神経の情報伝達がうまくいかなくなる病気です。
物が見えにくい、手足がしびれる、力が入らない、物が二重に見えるなどの症状が現れます。一度出現した症状が回復しても、しばらくすると再発することが多く、症状の増悪と寛解を繰り返すのが特徴です。再発するごとに違った症状が出ることがあります。患者さんによって症状の現れ方が違うのも特徴です。
はっきりした原因は不明ですが、髄鞘に対する自己免疫の異常が強く疑われています。
女性に多く、北国などの緯度の高い地域で多く発症しています。
発症して何年も経過すると、再発後の回復が悪くなり、脳や脊髄が萎縮して症状がずっと続くようになります。
病気の進行を食い止めるには、早期に診断をして、再発予防や進行抑制の治療を早期から行うことが大切です。さまざまな治療法の中から、効果が期待できて副作用の少ない、自分に合った治療法を選択し、医療機関で継続した治療を受けるようにしましょう。
調子の悪い症状が出現し、1日たってもよくならない場合は、再発が疑われます。医療機関を再受診しましょう。
心身のストレスや、風邪やインフルエンザなどの感染症が引き金となって再発することがあるので、十分に注意しましょう。
再発に備えて、家族や職場などに病気のことを伝えておくとよいでしょう。
今後の数年間に新しい治療薬が日本でも認可される予定です。主治医とよく相談して、自分により適した治療法を選択してください。