ギランバレー症候群は自己免疫疾患の一つです。自己免疫疾患とは、外敵から身を守るためにはたらく免疫のメカニズムに狂いが生じ、自分自身の体を攻撃するようになる病気です。この病気では、風邪、気管支炎、下痢などの感染症による免疫反応が、自分自身の末梢神経を攻撃して起こります。

まれな病気で、人口10万人当たりの発症は1人くらいです。

急性期を乗り越えれば回復する病気です。しかし、呼吸筋が麻痺して人工呼吸器を装着することもあり、最悪の場合、命にかかわることも生じるので油断はできません。

筋力が低下して、歩くことができない、物がうまくつかめないといった症状が現れます。中には目を動かす筋肉や顔面の筋肉、呼吸筋などに障害が出ることもあります。

患者さんの症状や、末梢神経伝導検査、血液検査、髄液検査などから総合的に診断します。

治療としては、免疫グロブリンを大量に静脈に注射する方法と血漿を交換する血液浄化療法があります。それぞれ一長一短なので、副作用や合併症を考慮しながら治療法を選択します。

治療効果は時に1週目に現れることがありますが、多くは2~3週間ぐらいに現れ、遅くても4週以内には改善の兆しがみえます。どうしても、効果が現れないときは診断を見直して、治療方針を変更することがあります。

いずれの治療も身体的な負担は大きく、経過とともに呼吸筋麻痺を生じることもあるので、入院が必要です。

筋力低下の進行が止まったら、退院も可能です。障害の具合によっては、その後、リハビリテーションが必要になります。