脳の中の中脳という部位に、ドパミンという物質を産生する神経細胞があります。パーキンソン病の運動症状はこの神経細胞の数が減少するために起こります。
主な症状は、手足のふるえ、動かしづらさ、歩行時の足のすくみ、バランスの悪さなどの運動症状のほか、立ちくらみ、便秘、排尿障害、発汗障害などの自律神経症状、しびれや痛みなどの感覚障害、不安、うつ、意欲の低下などの精神症状、睡眠障害などがあります。
治療は、不足したドパミンを薬で補うドパミン補充療法が基本となります。ただし、長期に服用すると、1日の時間帯により症状がよくなったり悪くなったりする日内変動が起きたり、自分の意思と関係なく現れる不随意運動(ジスキネジア)が出現することがあります。このため、脳内でドパミンを受け取る部分であるドパミン受容体に長時間作用する薬から服用を始めたり、いくつかの薬を組み合わせたりすることが有効です。
症状は徐々に進行しますが、薬が比較的よく効くので、きちんと治療を行えば今までとほぼ同じような生活を送ることは可能です。
初期には薬がきわめて有効で、日常生活はこれまでとほぼ同じように行えます。周りの人に手伝ってもらうのではなく、できることは自分で行いましょう。また、積極的に社会活動などにも参加しましょう。
散歩などの軽い運動は、筋肉やバランス感覚の維持に有効です。
進行すると、薬の効果が不十分となり、1日のうちで運動症状が悪化する時間帯(オフ時間)、薬の血中濃度がピークに達したときなどにジスキネジアとよばれる不随意運動が出現することがあります。また、実際にはいない黒い虫や人影が見えたりする(幻覚)場合には、薬の調節が必要となります。