多系統委縮症とは、脳の神経が障害を受け脱落していく脳神経変性疾患の一つで、進行性の病気です。
運動や平衡感覚に異常が生じ、細かい作業ができなくなり、ふらふらとした歩行などが見られるなどの小脳が障害を受けたときのような症状、筋肉のこわばりや歩きにくいなどのパーキンソン病のような症状、尿の排出が困難になるといった自律神経症状などが見られます。
病気の予後は5~10年程度といわれています。
診断のために、脳MRIやSPECTなどの脳機能画像検査を行います。起立試験や膀胱機能試験などによる自律神経機能検査、夜間の睡眠障害を知るために無呼吸症候群を診断する簡易アプノモニターなどの検査も行います。
今のところ根本治療はなく、対症療法となります。たとえば、パーキンソニズムに対しては、パーキンソン病の治療に用いられるエルドパやドパミン作動薬などが、排尿障害には抗コリン薬やコリン作動薬などが用いられます。
呼吸障害が進行した場合には、人工呼吸器や気管切開が必要になります。この治療に関しては、家族内で十分に話し合い、同意を得ておく必要があります。
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