伝染性単核症とは、唾液を介してエプスタイン・バール・ウイルスが感染する感染症で、キス病と呼ばれています。

初感染は小児期に最も多く見られますが多くは発症しません。ウイルス感染を免れてきた10~20歳代が感染すると5~10%に発症します。

症状としては、感染して4~8週後に筋肉痛や頭痛、微熱などが見られ、その後、38℃の発熱、咽頭痛、倦怠感、頸部リンパ節腫脹などが生じます。

発症すると、その半数に左上腹部にある脾臓の腫れが見られます。まれにこの脾腫が突然破裂(脾破裂)して、命にかかわることがあります。

診断は、症状や診察、血液検査により確定します。ただし、初期の場合には血液検査が陽性にならないことがあります。

通常は自然に軽快します。治療のゴールは、症状を和らげることです。抗菌薬や抗ウイルス薬は無効です。

咽頭痛や筋肉痛、発熱はアセトアミノフェンやイブプロフェンなどの市販薬で治療します。肝障害や腎機能障害を防ぐため、用量をきちんと守りましょう。アスピリンは15歳以下ではライ症候群や肝障害の恐れがあるので使用しません。

通常2~4週間で症状は軽減し、食欲も回復してきます。ただし、数週間から数カ月、倦怠感が持続することがあります。

脾腫は2週間以上持続します。回復する3~4週間は、激しい運動や接触の多い競技は控えましょう。高いレベルで競技活動を行っている場合は、以前のように競技ができるまでに時間がかかることがあります。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 感染初期は十分に休養しましょう。
  • 十分な水分を補給しましょう。
  • 発症しているときはキスを避け、食器やグラスを共有しないようにしましょう。