破傷風は、破傷風菌という土壌などに存在する細菌が傷口から体内に侵入し、破傷風菌が産生する毒素が神経系に吸着して、激しい筋肉のけいれんやこわばりを起こす病気です。

初期には、口がこわばる、顎の開け閉めができにくい、肩がこる、寝汗をかくなどの症状がみられますが、これはこの病気に特徴的な症状ではなく、診断をつけるのが難しいことがあります。傷の細菌の培養検査を行っても、その結果が必ずしも正しいとは限らないからです。

発症すると、急なけいれんの発作から窒息につながることがあり、救急車を手配するなどして、早急に受診すべく、注意を要します。また、いったん発症すると毒素の効果が消えるまで、長期の集中治療が必要となります。2000年に入ってからでも死亡例が報告されています。

まれな病気ですが、発症すると「抗生物質で簡単に治る」ような病気ではなく重篤な病気なので、予防が大事です。予防接種は必ず受けましょう。日本では、小児期の定期予防接種に、破傷風ワクチンを含む三種混合ワクチンが含まれています。3回の接種で基礎免疫を獲得できます。その後成人になってからも、下記のような破傷風になる危険性がある外傷を受けた場合には、1回、追加接種を受けましょう。

土いじり中の傷や、ピアスによる些細な傷、糖尿病患者さんの足の潰瘍の傷などに細菌が感染し、発症することがあります。ケガした後に、顎が開きにくい、ケガの周囲の筋肉がこわばるなど、破傷風を疑うような症状があるときは、すぐに病院を受診しましょう。