豚に感染している日本脳炎ウイルスが蚊を介してヒトに感染して発症します。

発症頻度はそれほど多くありませんが、死亡率や後遺症を残す確率が高く、危険な感染症です。

発熱で発症し、時に嘔吐、腹痛、下痢などがみられます。進行すると、ボーっとするなどの意識障害が出たり、けいれんや手足の動きが悪くなどの症状が現れます。

有効な治療法はありません。けいれんなどが出た場合にはけいれんを抑える治療、呼吸の状態が悪い場合には人工呼吸器で呼吸を支える治療といった対象療法を行いながら、自然に治癒力で回復するのを待ちます。

症状が現れる1~2週間前までに旅行した場所や滞在した場所を医師に伝えてください。

小児期に日本脳炎ワクチンを摂取することで、予防は可能です。

血液検査のほかに、脳の周りを取り巻いている脳脊髄液を腰から針で刺して採取する検査が行われます。脳の変化をみるために、頭部CTや頭部MRIが行われることがあります。

診断が確定するまでに1週間ほどかかります。

けいれんが長く続いたり意識の状態が悪い場合には、生命の危険性が高いと考えられます。また、回復して退院したのちに、けいれんを起こしやすくなったり、手足の震えが出ることがあります。小児の場合、退院して数カ月後に行動異常や学習障害がはっきりしてくることがあります。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 国内の養豚が盛んな地域や、流行地である東アジア・東南アジア・南アジアを訪れる際には、蚊に刺されないように気をつけましょう。