マラリアはマラリア患者の血液を吸血したハマダラカに刺されて感染する発熱性の病気です。

なかでも熱帯熱マラリアは重症化しやすく、腎臓、肝臓、肺、心臓、脳神経などの臓器が障害され、適切な治療が行われても15~20%は死亡するとされます。

症状は寒気やふるえを伴う発熱が特徴で、海外旅行から帰国後に高い熱を出すときは、マラリアを考える必要があります。

現在、日本国内での感染はありませんが、マラリアの多い海外の地域に1カ月ほど滞在すると、3%程度の罹患率があると考えられています。

蚊を介して感染するので、人から人にうつすことはありません。

予防内服や防蚊対策によって発症を減らすことができるので、マラリアの流行地へ旅行するときは、事前にトラベルクリニックを受診して予防対策をしましょう。

マラリアに感染したかどうかは、血液検査で調べます。血液の赤血球にマラリア原虫を確認できればマラリアと診断されます。検査の精度は、重症度や検査技師の経験とも関係があるので、一度陰性になっても、約3日間は繰り返し検査を行います。

マラリアと診断されたら早急な治療が重要です。発症後間もなくで、全身症状が安定している場合は、マラロンなどの国内の承認内服薬により、合併症を残さずに症状は改善します。

重篤な場合は、特殊な治療薬を保管している専門医療機関で治療を行います。

マラリア原虫の種類が三日熱マラリアや卵形マラリアの場合は、治療がうまくいった後にも、しばらくして肝臓に残ったマラリア原虫によって再発することがあるので、予防のためにも特殊な治療薬プリマキンによる内服治療を追加します。