梅毒は、梅毒スピロヘータという細菌が起こす感染症です。性行為や梅毒による皮膚病変に接触することで感染します。

感染は性器や皮膚だけでなく全身に及び、妊娠している場合には胎児にも影響することがあります。

適切な治療を受ければ完治しますが、神経や心臓、大動脈などへの感染は後遺症を残すこともあります。

初期には性器や鼠径(そけい=ももの付け根の前部)のリンパ節の腫れや全身にさまざまな症状を引き起こしますが、治療しなくても症状が改善することがあります。しかし、症状が自然に改善しても感染は持続して、数年~数十年後に重篤な症状を脳や心臓、大動脈に起こすことがあり、感染した場合は治療が必要です。

治療効果の判定は血液検査で行い、その判定には数カ月から1年かかります。

治療はペニシリン系抗菌薬が有効とされています。病期、感染臓器、妊娠の有無などにより、経口による治療か静脈注射かが選択されます。

ペニシリン系抗菌薬以外にも抗菌薬はありますが、有効性は劣るか不明です。

ペニシリン系抗菌薬がアレルギーのため使用できない場合、ほかの抗菌薬を使うか、投与するペニシリンの量を徐々に増加するペニシリン脱感作を行うかが慎重に検討されます。

治療開始直後に、皮疹や発熱などが一過性に現れることがあります。薬の副作用ではなく、治療によって菌が死滅することで起きる反応です。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 不特定多数との性交渉を避けること、あるいはコンドームの使用などにより予防が可能です。
  • 主に性行為によって感染する病気のため、性交渉を持った相手の方の検査と治療も重要になります。