炭疽は、自然環境に存在する炭疽菌に感染した野生の哺乳類や家畜からヒトに感染する感染症です。

国内での発生は近年みられませんが、海外では毛皮業者への感染例や、感染した家畜の肉を食べて集団感染した例などが報告されています。

また、バイオテロリズムに使用されたこともあり、米国では2001年に炭疽菌が混入した郵便物が発見されるという事件が起きています。

感染経路によって、黒いかさぶたができる皮膚炭疽、インフルエンザ症状から呼吸困難を起こす吸入炭疽、激しい下痢を生じる消化管炭疽の3タイプに分類されます。一般に、吸入炭疽、消化管炭疽は致死率が高い重篤な病気です。

炭疽菌が培養検査などで確認されると診断は確定します。

治療法は、抗菌薬治療です。重症化する場合は全身的な集中治療が必要です。

炭疽菌に曝露(触れる、吸い込む)した可能性がある場合には、発症を予防する目的で抗菌薬を内服し、ワクチンを接種する必要があります。

炭疽菌は曝露を受けてから長期間たった後に発症することがあります。予防薬を途中で止めたりすると発症の危険があります。必ず医師の指示に従いましょう。薬が合わないときは担当医に相談し、体に合った抗菌薬を選び直しましょう。