ハンセン病はきわめて感染力の弱いらい菌が感染して起きる慢性の感染症です。
病気が進行すると末梢神経の障害に伴い、皮疹や手足の感覚が鈍くなる知覚異常や筋肉が収縮する運動障害などの合併症がみられます。
皮膚や神経機能の診察に加えて、皮膚スメア検査や皮膚生検を行い診断します。皮膚スメア検査とは、皮疹部や耳たぶなどにメスを少し刺し、その部分から皮膚組織液を採取して菌の有無を確認する検査です。皮膚生検は、病変のある皮膚組織の一部を採取し、顕微鏡で観察し、ハンセン病に特徴的な所見の有無を確認する検査です。
現在、抗菌薬による有効な治療法が確立されています。しっかり服用すればほぼ100%治癒できる可能性があります。ただし、治療は長期(半年~数年)にわたり、複数の抗菌薬が必要になります。
通常、治療により緩慢な経過をたどりますが、経過中にらい反応という免疫反応に伴う症状、たとえば皮疹や神経症状の増悪、発熱などがみられることがあり、追加の治療が必要になることがあります。
薬を中断すると薬剤が効きにくい耐性菌を惹起することがあります。自己判断で中止・減量するのは避け、薬が効かないときは主治医に相談しましょう。