エキノコックス症は、多包条虫という寄生虫が人の肝臓に寄生して起きる病気です。

エキノコックスの虫卵に汚染された山菜、沢水、あるいは虫卵が付着したキツネやイヌに触れた手指を介して口から感染します。

日本国内の発生頻度はあまり高くありませんが、北海道ではキタキツネを介して感染する場合が多くみられます。

初期には自覚症状が現れないため発見が遅れることがあります。進行すると、肺や脳に病気が広がることもあります。

治療は病巣部分を外科手術によって切除することが基本です。完全に切除できれば病気は治癒します。

診断は超音波、CT、MRIなどの画像検査で病気の範囲を確認し、血液中のエキノコックスに対する抗体を測定します。その他の血液検査を含めて、肝臓の働き具合を調べ、肝臓の手術が可能かどうかを判断します。

外科手術が困難であると判断された場合や、手術後に病気が残っていた場合には内服薬で治療します。

エキノコックス症に対して外科治療が可能かどうか、開腹手術に関連して問題となる合併症がないかなどを評価したうえで具体的な治療計画を立てるため、検査や治療目的での入院が必要となります。