輸血後に合併症が起こることがあります。そのひとつが輸血関連急性肺障害(TRALI)で、輸血中もしくは輸血後6時間以内(多くは2時間以内)に起こります。

TRALIの主な症状は、咳、呼吸困難、血圧低下、発熱などです。重篤な呼吸困難になることも多く、場合によっては、人工呼吸管理が必要となります。

TRALIの日本での報告は年間20~40例程度とまれな合併症ですが、重症の患者さんでは5~8%に発症するとの報告もあります。

輸血により血液量が急激に増加して起こる心不全が輸血関連循環過負荷(TACO)です。呼吸困難、起座呼吸(上半身を起こした姿勢でする呼吸)、皮膚や粘膜が青紫になるチアノーゼ、頻脈、血圧上昇、肺水腫などの症状が現れます。高齢者と幼児に起こりやすいといわれています。

輸血後の合併症としてアナフィラキシーもあります。輸血を開始した直後、多くは2時間以内に、全身のかゆみ、皮膚の一部が赤くなる発赤、じんましんなどとともに、喉頭の違和感、嚥下・発声障害、かすれ声、喘鳴(呼吸時にゼーゼーと音がする)を伴う呼吸困難、咳などの症状が出現します。アレルギー反応の強いもので、輸血製剤に含まれるたんぱく質などが患者さんの血液中の抗体と反応して起こる場合もあります。日本での発症報告数は年間約300件、頻度は約0.006%(17,000件の輸血に対して1件)と、頻度は比較的低いです。

輸血中もしくは輸血後に、喉の違和感があったり、咳が出始めたり、呼吸が苦しくなったりした場合には、すぐに医師や看護師に連絡をしてください。