ヘリコバクター・ピロリ(以下ピロリ菌)は、1980年代に発見された胃の壁を傷つける細菌です。ピロリ菌による委縮性の胃炎は、胃がんとの関係が明らかになりました。
1994年、世界保健機構(WHO)により、胃がんの第一級の発がん因子であることが認定され、世界各国で除菌治療が行われるようになりました。
初回の除菌治療(一次除菌)は、胃酸分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬、もしくはカリウムイオン競合型アシッドブロッカーと2種類の抗菌薬(アモキシシリン、クラリスロマイシン)を7日間内服します。近年では、クラリスロマイシンの耐性率が上昇したことで、一次除菌の成功率は徐々に低下しています。
2013年2月には「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対する除菌治療が保険適用となりました。除菌治療を受けるには胃カメラ検査が必要です。
一次除菌治療に失敗した場合には、クラリスロマイシンをメトロニダゾールに変更する二次除菌治療が行われます。
ペニシリンアレルギーの場合や二次除菌にも失敗した場合は、自費診療でピロリ菌の除菌治療を行うピロリ外来も増加しています。
除菌治療前後の感染診断には、胃カメラで組織を採る迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法があります。胃カメラを使用しない感染診断としては、血液中や尿中の抗体測定法、尿素呼気試験、便中のピロリ菌抗原測定法があります。
除菌治療してから4~6週間後に、除菌治療が成功したかの判定が出ます。
除菌治療以後もピロリ菌が再び活動したり再度感染することがあります。
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