抗菌剤を長期間服用していると、大腸内にある種の菌が異常に増えて、炎症を起こし、大腸の壁に小さい円形の膜(偽膜)を形成することがあります。これがクロストリジオイデス・ディフィシル感染症です。

下痢、腹痛、発熱などの症状のほか、腸閉塞や消化管の穿孔(壁に孔があくこと)などを引き起こすこともあります。

原因菌の多くはクロストリジオイデス・ディフィシル菌です。米国での調査では10万人の入院当たり60人の患者さんが発症しています。20%程度で再発することがあります。

治療は、軽症の場合は原因薬剤を中止して様子をみます。乳酸菌製剤を投与することもあります。重症の場合は、抗菌薬で原因菌を除去します。

クロストリジオイデス・ディフィシル菌は、健常な人でも腸管にいる菌です。また、ドアノブやカウンターなどでも見つかり、院内感染を引き起こすことがあります。したがって、手指の衛生を徹底することが需要です。アルコールでは殺菌されないので、流水でしっかりと手洗いしてください。

治療をしても症状が改善しなかったり、悪化する場合は再受診してください。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 下痢症状があるときや、尿が濃かったり尿の回数が極度に減っている場合は、十分な水分補給をしてください。水分に塩分・糖分を加えたものを補給するとよいでしょう。
  • 経口での水分摂取が不可能な場合は、点滴による摂取が必要です。
  • 食欲がなければ水分摂取のみとなりますが、食欲があれば、塩気のある茹でた穀物(イモ、麺類、米など)や、バナナ、スープなどをとるとよいでしょう。