胃MALTリンパ腫の“MALT”とは、粘膜関連リンパ組織という意味です。この病気は、悪性リンパ腫の一種で、リンパ球が悪性化して増え続けるがんです。ただし、悪性度そのものは、それほど高くありません。また、進行のスピードも遅いです。

胃がんの5%以下に見られるまれな病気です。

原因の約9割はピロリ菌とされます。

胃MALTリンパ腫の診断は簡単ではありません。リンパ腫は体のあちこちに病変がみられ、また、病気の進行によって治療法も異なるので、PETや骨髄検査などによる全身の検査が必要です。

治療には、ピロリ菌の除菌、放射線療法、化学療法、手術などがあります。低悪性度なので、通常は患者さんの負担が少ないピロリ菌の除菌治療を最初に行います。これで約7割が治ります。

除菌の効果がない場合や、リンパ腫の進行によっては、放射線治療や化学療法が検討されます。

治療で治ったり、リンパ腫が小さくなっても、経過観察中に再発したり、進行したりすることがあります。悪性度の高い大細胞型リンパ腫に変化することもあります。症状がなくても定期的な検査は必ず受けましょう。