過敏性腸症候群(IBS)とは、これといって明らかな異常が見られないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感があり、下痢や便秘が長期に続く症状です。ストレスの多い先進国に多く見られ、一種の文明病とみられます。

心理検査をするとうつ、不安、ストレスなどの心理的な問題が、腹痛など身体の症状として現れる傾向が見られます。

過敏性腸症候群の場合、脳と腸との情報のやり取りが過敏になり、ストレスで脳が興奮すると、腸の運動も内臓感覚も異常になりやすく、腹痛、便秘や下痢などの症状を引き起こすと考えられています。

検査は、便潜血検査、尿一般検査、血液炎症反応、末梢血球数、血液生化学検査、大腸内視鏡検査、大腸X線検査などを行い、大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病などを除外します。

治療は第一に薬物療法を行います。ポリカルボフィルカルシウム・乳酸菌製剤などの腸管の内容物を調整する薬剤や、トリメブチンなどの腸機能を調整する薬物を使用します。その他、下痢や便秘を改善する薬を用いることもあります。

消化管に対する治療で改善しないときは、抗不安薬、抗うつ薬などを処方します。

薬物が無効の場合は心理療法が功を奏することがあります。症状を完全に消失させるのではなく症状のコントロールを目標にすると、症状も和らぎます。

薬は自己判断で減量したり中止したりしないようにしましょう。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 規則正しい生活を心がけましょう。
  • 睡眠を十分にとりましょう。
  • 刺激の多いものの摂取や、夜間の大量の食物摂取は避けましょう。
  • 特定の食品で症状が起こりやすいときはその食物を避けましょう。