大腸憩室症には大腸憩室炎と大腸憩室出血の2つがあります。

大腸憩室炎は、大腸にある憩室という袋状の粘膜に炎症が起きる病気です。多くの場合、比較的範囲が限られた腹痛の持続として発症します。重症になると発熱などの症状を伴います。

大腸憩室出血は、憩室内にある血管が破れて出血する病気です。突然発症しますが、痛みを伴うことなく、連続的に大量の鮮血便が出ます。

両者とも、食事を止め、入院して点滴を受けます。大腸憩室炎の場合は腹部CT検査などで原因を調べます。大腸憩室出血の場合は出血場所を見つけるために下部消化管内視鏡検査を行います。

大腸憩室炎の場合は、抗菌剤を投与します。多くの場合はこれで回復します。腹部に膿がみられたり、大腸が破れていた場合、薬の効果が得られない場合は手術の必要も出てきます。

大腸憩室出血の場合は、内視鏡検査で出血している憩室がわかれば止血処置をします。出血箇所がわからない場合でも、多くは点滴管理で腸管の安静を保っているうちに自然に止血します。止血しないときは再度内視鏡検査を行うか、血管造影による処置や手術を行います。

大腸憩室炎は、あまり再発はありません。ステロイドや免疫抑制剤を服用している場合や炎症の程度が強い場合は再発することもあります。

大腸憩室出血は1年間に5人に1人が再発するといわれています。特に血圧が高い、血液透析をしている、痛み止めや血を固まりにくくする薬を飲んでいる場合などは再出血のリスクが高くなります。

大腸憩室炎、大腸憩室出血いずれも、再出血したときには、すみやかに受診してください。