自己免疫性肝炎は、免疫力のアンバランスが原因で起きる病気です。患者数は約2万人、男女比1対6で女性に多く、また中年以降に発症することが多いですが、若い人でも無縁ではありません。高齢者では重症化しやすいので注意が必要です。

症状としては、全身の倦怠感、食欲不振、関節痛、発熱などがあげられます。重症の場合は、黄疸、腹水、昏睡などが現れます。

甲状腺機能低下、関節リウマチなど、他の自己免疫性疾患が合併することもあります。

自己免疫性肝炎は遺伝ではありませんが、一般の人と比べると血縁者に同じ病気の人がいる場合、発生頻度は高くなります。

自己免疫性肝炎は、簡便な血液検査マーカーがないので、血液検査によるAST・ALTの上昇(肝細胞の障害)や、高ガンマグロブリン血症や抗核抗体など自己抗体の陽性などから、総合的に診断します。

治療法は、ステロイドが第一選択です。これは自己免疫性肝炎の特効薬です。多くの患者さんに、AST・ALTの速やかな正常化がみられます。

ステロイドの効果が不十分な場合や副作用が強い場合は、イムランなどの免疫抑制剤、ウルソや強力ネオミノファーゲンCなどの肝庇護剤で治療します。

ステロイドには、胃潰瘍などの消化性潰瘍、顔が丸くむくむ易感染性満月様顔貌、糖尿病、骨粗しょう症などの副作用があります。この副作用に対しては、予防薬を服用して対処します。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 禁酒し、過労は避けて十分な睡眠を取り、適度な運動を心がけましょう。肥満の人はBMI22以内を目指しましょう。
  • 副作用に関しては医師とよく相談し、十分に理解して、自分で勝手に薬の服用を中止することは避けましょう。自己中止は病気の再燃につながることがあります。