膵のう胞とは、膵臓の内部や周囲にできる袋のことです。袋の中には液体が貯まっています。

先天性のもの・後天性のもの、良性のもの・悪性のものなどさまざまな種類があります。多くは自覚症状に乏しく、画像診断で偶然発見されることがほとんどです。

膵のう胞のうち、発生頻度が高いのは膵炎後にできる仮性のう胞ですが、最近は、膵管の分枝が拡張してできる貯留のう胞も増えています。これらの多くは良性です。ただし、膵炎を起こしている場合には治療が必要になります。

また、膵のう胞の中には腫瘍性のものがあります。漿液性のう胞腫瘍(SCN)、粘液性のう胞腫瘍(MCN)、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の3種類が代表です。

漿液性のう胞腫瘍(SCN)は、中年女性に多く、見つかったときは経過観察をします。粘液性のう胞腫瘍(MCN)はほとんどが女性で、手術が必要です。膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は高齢者に多く、手術が必要な場合と経過観察でよい場合とがあります。

仮性のう胞を形成し、症状がある場合や、6週間を経過してものう胞が消失しない場合には、入院しての治療が必要になります。

膵炎がアルコールによる場合は禁酒をしましょう。

膵のう胞が良性と診断された場合は、経過観察になります。6カ月ごと、1年ごと、いずれの経過観察方法が必要かは医師の指示に従いましょう。

貯留のう胞や膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の場合は、膵がんの発生リスクが高いので、6カ月ごとの経過観察が必要です。