B型肝炎は、性交渉や注射の回し打ち、入れ墨、ピアスなどによる感染のほか、医療現場での輸血や針刺し事故、血液や体液を介した感染により起きる肝炎です。

急性感染は、感染症法で5類感染症に指定されており、診断確定後、7日以内の届け出が必要です。

成人のB型急性肝炎はほとんどが一過性のもので治療をしなくても自然に治癒します。ただし、まれに肝炎が長引き慢性化することがあるので、肝炎のマーカーHBV-DNA量が陰性化し、B型肝炎のHBs抗体が陽性となるまでは定期的に血液検査を行います。

一方、B型慢性肝炎で、B型肝炎ウイルスに感染していても、肝炎を発症しない患者さんは多くみられます。

B型急性肝炎で、黄疸が長引いたり、重症度の判定に使われるプロトロビン(PT)活性が低下したり、意識障害が生じる肝性脳症が出現したりするときは、重症化や劇症化の可能性があります。PT活性が70%以下に低下していたり、著明な黄疸が出現している場合は、核酸アナログ製剤を使用した抗ウイルス療法が行われます。PT活性が40%以下の場合は、免疫抑制療法や肝移植が検討されます。

B型慢性肝炎では、年齢、肝線維化の進展の程度、HBe抗原の有無などにより、抗ウイルス療法などの治療の有無を検討します。

薬は、自己判断で中止したり減量したりしないようにしましょう。

状態が安定していても、3〜6カ月に1度は血液検査を、年に1度は画像検査を受けるようにしましょう。核酸アナログ製剤を使用しているときは、1〜3カ月に1度の血液検査を受け、肝機能だけでなくHBV-DNA量の測定も行います。