がん細胞が血液やリンパの流れに乗って、移動し、そこで腫瘍に成長することを転移といいます。転移性肺がんは、他の臓器で発生したがんが肺に転移したものをいいます。

肺に転移するがんとしては、結腸・直腸がん、乳がん、腎がん、子宮がん、頭頚部がん、骨・軟部悪性腫瘍、膀胱がん、胃・食道がん、肝がん、膵がん、卵巣がんなどさまざまです。

肺に転移しても、がん細胞は元の臓器のがん細胞が成長したものです。そのため、がんの性質も元の臓器のがん細胞の性質を受け継いでいることが多いです。例えば大腸がんが肺に転移して転移性肺がんになった場合も、がん細胞は肺がん細胞ではなく、大腸がんのがん細胞です。

転位前の原発がんごとに治療は異なります。例えば、大腸がんが転移して転移性肺がんになっても、抗がん剤や分子標的治療薬は、元の大腸がんの治療薬を使用します。

かつては肺に転移すると、有効な治療薬がなかったのですが、現在は腎がんや肝がんにも分子標的治療薬が開発されたり、前立腺がんにはホルモン療法が有効であることがわかるなど、がん医療は進歩しています。

元の臓器のがんが切除され、肺以外に再発がんがなければ、手術で肺に転移した部分を切除することも可能です。

転移性肺がんが再発すると、血の混じった痰、喘鳴(ぜんめい/ゼーゼー、ハーハーする呼吸音)、息切れなどの症状が現れることがあります。早めに受診しましょう。

定期的な胸部X線写真、CT検査、腫瘍マーカーによって再発が診断される場合もあります。