成人T細胞白血病・リンパ腫は、白血球の中のT細胞というリンパ球がヒトTリンパ向性ウイルス1型(HTLV-1)に感染することにより発症する血液のがんです。

感染経路は母乳、性交渉、輸血などがあります。現在、妊婦へのHTLV-1検診による授乳の中止や献血時のHTLV-1チェックにより、かなり感染が阻止されています。

HTLV-1に感染した人が成人T細胞白血病・リンパ腫を発症する割合は数パーセントで、平均発症年齢は60歳です。

T細胞は白血球の中でも免疫を担う細胞なので、がん化した場合には強い免疫不全を示します。健康な人ではかからない細菌や真菌、ウイルス、寄生虫感染などの感染症にかかりやすくなり、さまざまな臓器に障害を起こすことがあります。

検査では血液検査を中心に、リンパ節や皮膚の生検を行って診断します。その他病気の広がりを調べるために、骨髄検査やCT、PET、MRI、内視鏡検査などを行い、治療法を決定します。

尿素窒素やLDH(尿酸脱水素酵素)の上昇など予後不良因子が認められない成人T細胞白血病・リンパ腫の場合は、経過を観察しながら、感染症を予防する抗生薬などによる補助治療を行います。

急性型*やリンパ腫型**の場合は、急速に進行することがあるので、入院して化学療法を行います。 

治療後、悪性細胞がかなり減少して検査異常が改善(寛解)しても、再発する可能性があり、内服薬による感染予防が大事です。

急性型:血液中に花びら形をした核をもつ異常リンパ球が急速に増えていく型。

リンパ腫型:悪性化したリンパ球が主にリンパ節で増殖し、血液中に異常細胞が認められない型。