再生不良性貧血は、骨髄にある、血液細胞の種になる造血幹細胞が何らかの原因で持続的に減少し、全体の血球が少なくなる病気です。

貧血のほか、動悸・息切れ、皮膚の点状出血や鼻出血などの出血傾向、発熱などの血球減少による症状がみられます。

重症再生不良性貧血は、かつては命にかかわる病気でしたが、今は免疫抑制療法や骨髄移植などの治療法の発達により90%近い人が長期間生存しています。

病期の重症度や成り立ちを正確に診断し、早期に適切な治療を開始することが大事です。

初期には血小板減少だけが目立つことがあるため、特発性血小板減少性紫斑病との鑑別が困難なことがあります。血小板をつくりだす骨髄の巨核球が少なければ、再生不良性貧血の治療を受けるのが望ましいでしょう。

40歳未満で、白血球の型が一致するドナーが血縁者にいる場合は骨髄移植を勧めます。

免疫抑制療法でも効果は同等です。骨髄移植と免疫抑制療法の長所と短所を理解して治療を選択しましょう。

免疫抑制療法では、発熱、急性のアレルギー反応であるアナフィラキシーショック、血小板減少、感染症など重篤な副作用が出ることがあるので入院して治療します。

皮膚の点状出血が手足に限られている場合は、重い出血が起きることはまれです。しかし、胸部や腹部に見られる場合は、脳内や眼底、消化管などに致命的な出血を起こすことがあります。この場合は、血小板の輸血が必要です。

再生不良性貧血では重い感染症を起こすことはまれです。感染症に必要以上の心配は無用です。

難治例の約50%は新薬のトロンボポエチンレセプター作動薬によって改善し、改善した患者さんのうち約半数は、治療を中止してもよい状態が保たれることが分かっています。