発作性夜間ヘモグロビン尿症は、赤血球が血管内で異常に早く破壊(溶血)されて起きる貧血です。早朝にコーラ色の尿が出るヘモグロビン尿が特徴です。
赤血球破壊の原因は、造血幹細胞の遺伝子に後天的に異常が起こり、その結果、赤血球が自分の血液中の補体(病原菌排除に役立つ小タンパク質)の攻撃を受けたためとされます。
血液中の白血球や赤血球、血小板のすべてが減少する再生不良性貧血や、血球の数だけでなく質も低下する骨髄異形成症候群と関係し、合併・移行することがあります。
感染症や、血栓(血の塊)が血管を狭くしたり塞いだりする血栓症を併発することがあります。また、感染症を契機に溶血が増悪することもあります。
後天的な病気ですが、子どもから大人まですべての年齢で発症します。特に20〜60代に多くみられます。男女差はありません。
病気を完全に治すには骨髄移植しかありませんが、ゆっくり経過する病気なので、骨髄移植は重症の場合に行われます。
溶血に対しては、これまで副腎皮質ステロイド薬を使用してきましたが、病原菌排除にかかわる補体に対する抗体薬のエクリズマブが開発され、劇的な効果が示されています。
貧血が強いときには輸血を行うこともあります。
血栓症を併発すればその治療を行い、再生不良性貧血を合併して、その症状が強ければ免疫抑制剤による治療が有効です。
経過はゆっくり進行し、時に自然に治癒することもあります。