特発性血小板減少性紫斑病は自己免疫疾患の一つです。血小板に対して自己抗体ができ、その抗体の結合した血小板が脾臓にあるマクロファージに食べられ、また、抗体が血小板をつくりだす巨核球の産生・血小板産生を低下させて、血小板の減少が生じます。

主な症状は、血小板減少による出血傾向です。点状の出血やあざになった出血(斑状出血)が手足や体に現れます。血小板数が低下すると、口腔内出血、鼻出血、血尿、性器出血などが起きることもあります。

ヘリコバクタ・ピロリ菌に感染している場合は除菌により血小板数が改善することがあるので、診断がつけばピロリ菌の検査を行います。

比較的予後のよい病気です。血小板数が3万以上あれば外来で経過観察します。

血小板が2万未満あるいは重篤な出血傾向があるときは、第1選択薬として副腎皮質ホルモン療法を行います。副腎皮質ホルモンは長期に大量使用することはできません。一定期間使用したら減量していきます。

副腎皮質ホルモンを減量すると血小板数が減少してくることがあります。このとき、第2治療として脾臓(ひぞう)の摘出(脾摘)を行います。それでも効果がないときは、トロンボポエチン類似薬を使用します。

副腎皮質ホルモンの使用中は感染症を引き起こす可能性があります。また、高血糖・糖尿病、高血圧、消化管出血、骨粗しょう症を合併することがあるので、入院して慎重に経過を観察します。

血小板が少ないときは、脳出血や消化管出血を招きやすいので、激しい運動は避けましょう。