甲状腺は喉元にあるモンシロチョウくらいの大きさの組織で、体内の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンを分泌しています。この甲状腺の機能が低下する病気が、甲状性機能低下症です。女性に多く発症します。

原因としては、橋本病(慢性甲状腺炎)、甲状腺全摘手術後、バセドウ病へのアイソトープ治療後、抗甲状腺薬の過剰投与、破壊性甲状腺炎、その他薬剤の影響などがあげられます。

症状としては、新陳代謝の低下により、意識の低下、全身活動の低下、コレステロールの体内蓄積および全身の動脈硬化症の進展があげられます。

診断としては、血液中の甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンを測定します。

破壊性甲状腺炎が原因の場合は放っておいても自然によくなります。

その他の原因の場合は、診断されたら、早いうちから甲状腺ホルモン補充療法を開始します。ホルモン補充といっても、適量を服薬すれば副作用の心配はありません。

治療開始当初は、体が慣れないための症状が出ることがあります。ただし、動悸がする、胸が圧迫されるという症状は狭心症の可能性があるので、担当医に相談しましょう。

2~4週間に1度、また服薬の量が維持量に達したら3~12カ月に1度、受診して血液検査を受けましょう。

甲状腺ホルモン補充療法を開始した人はヨードの摂取の制限はありません。海藻も自由に食べてかまいません。補充療法を行っていない場合は、ヨードの過剰摂取を控えましょう。