橋本病は甲状腺に慢性の炎症が起きて甲状腺ホルモンが減り、甲状腺機能が低下する自己免疫疾患です。自分の甲状腺に対して、免疫が誤って攻撃して自己抗体をつくり、慢性の炎症を引き起こします。

症状は、甲状腺の腫れが主ですが、そのほか、倦怠感、体重増加、むくみ、寒がり、便秘、月経不順などがあげられます。

甲状腺機能が正常でも機能低下を示す人がいます。経過観察中に甲状腺ホルモン過剰になる人もいます。

血液中の抗甲状腺抗体がある人は10人に1人以上といわれていますが、橋本病の発症は人口の約5%にみられ、女性に多い病気です。

診断は問診と触診、血液検査で確定します。その後、橋本病の原因を探るために2種類の自己抗体の検査をします。判断がつかないときは、超音波検査や生検、甲状腺の腫れに針を刺して細胞を吸引し、それを顕微鏡で調べる穿刺(せんし)吸引細胞診などで確定します。

治療は甲状腺ホルモン補充療法を行います。甲状腺の腫れがそれほど大きくはなく、甲状腺ホルモンが正常な場合は治療の必要はありません。

治療の経過中に、甲状腺中毒症を発症することがあります。食欲が強くなったり、体重が減ってきたり、動悸がしたり、暑がりになったり、甲状腺に痛みを伴うこともあります。この場合、バセドウ病の発症や無痛性甲状腺炎を発症している可能性もあります。治療法はそれぞれ異なります。すぐに受診しましょう。

妊娠や出産に伴って甲状腺機能は変動しやすいので、妊娠の予定や可能性がある場合は、必ず受診して、甲状腺機能を調べましょう。また、妊娠時から出産後1年くらいまでは、甲状腺機能の働きを確認しておきましょう。