甲状腺腫は首の前にある甲状腺が腫れる状態をいいます。甲状腺腫には、びまん性甲状腺腫と結節性(けっせつせい)甲状腺腫があります。前者には単純性びまん性甲状腺腫、バセドウ病、橋本病、無痛性甲状腺炎があり、後者には甲状腺腺腫、甲状性がん、亜急性甲状性炎があります。
多くの場合は、単純性びまん性甲状腺炎で良性、腫瘍や炎症もなくホルモン異常もありません。ただし、甲状腺機能に異常が生じる可能性もあり、定期的に検査をしましょう。
バセドウ病は自己免疫疾患の一つで過労やストレスが続くと免疫力が落ちて発症しやすくなります。快眠快食を心がけ、ストレスをためない生活をしましょう。
橋本病は甲状腺機能低下症の一つで自己免疫疾患です。高齢の場合はうつ病や認知症と間違えられることがあります。
甲状腺に結節性の腫れがあるときは、エコー検査で良性か悪性かを調べます。悪性の場合は、甲状腺の腫れに針を刺して細胞を吸引し、それを顕微鏡で調べる穿刺(せんし)吸引細胞診を行います。甲状腺がんだとしても、これは予後のよい乳頭がんです。手術で治ります。
甲状腺は肥大しやすく、良性の場合は治療の必要はありませんが、ときどき検査を受けて、悪性でないことを確かめましょう。
甲状腺の腫れが大きくなり、痛みやものが飲み込みにくいなどの自覚症状があるときは、受診しましょう。
治療をきちんと行わないと、甲状腺ホルモンが出過ぎるバセドウ病クリーゼや、甲状腺ホルモンが不足して意識障害が起きる粘液水腫性昏睡(ねんえきすいしゅせいこんすい)が起きることがあります。薬は指示どおりに服用しましょう。