クッシング病は、人口50万人当たり年に1人の発症という、きわめてまれな疾患です。

原因は、下垂体にできる腫瘍(下垂体腺腫)とみられます。そのため下垂体から分泌されるACTHというホルモンが過剰に産生され、さらに副腎皮質ステロイドホルモンの一種のコルチゾールも過剰になる高コルチゾール血症を起こして発症します。

症状としては、上肢や下肢の皮膚が薄くなり毛細血管が透けて見え、ぶつけると皮下出血をしやすく、顔はむくんで赤ら顔となります。多毛でニキビもみられます。お腹が膨らみ、その割に大腿部が細いという体型は特徴的です。

高血圧症、糖尿病、脂質異常症、骨粗しょう症、うつ病、心不全、重症感染症などを発症する頻度が高くなります。

治療の第一選択は下垂体腺腫の摘出手術です。手術により、約60~70%が治ります。

手術で十分な効果が得られないときは薬物療法や放射線療法を追加します。

睡眠障害やうつ症状が強くなったとき、また高血圧症や糖尿病などの合併症が悪化したときは早めに診察を受けましょう。

骨密度が低下するため、激しい運動は避け、転倒しないように生活面で注意を払いましょう。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 指示されたカロリー摂取制限を守りましょう。
  • 合併症治療も継続しましょう。