下垂体は脳の下に位置する小さな臓器です。人が生きるための必要なホルモンをつくるために重要な役割を果たしています。

下垂体機能低下症では、下垂体の腫瘍、シーハン症候群(分娩時の大出血にともなう下垂体機能低下症)など何らかの原因で下垂体ホルモンの産生が障害され、そのホルモンが支配する末梢のホルモンが欠乏状態になります。

末梢ホルモンには、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンなどがありますが、そのうち、生命の維持に欠かせないホルモンは、副腎皮質ホルモンと甲状腺ホルモンです。

欠乏している末梢ホルモン、特に副腎皮質ホルモンと甲状腺ホルモンを生涯にわたって服用して補充する必要があります。

副腎皮質ホルモンは発熱などのストレスがある場合には服用量を増やさなければなりません。通常、38℃以下の発熱など弱いストレスでは常用量の2倍、38℃以上の発熱など強いストレスでは3倍以上の量を服用します。

発熱、感染症、ケガなどの際は服薬指導に従いましょう。それでも体調が悪いときは医療機関を受診してください。

妊娠時や他の薬との飲み合わせなどがわからないときには、主治医や薬剤師に相談しましょう。

他の病気で医療機関を受診するときは、下垂体機能低下症でホルモン補充療法を受けていることを必ず伝えましょう。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • ホルモンは毎日きちんと服用し、自己判断で服用を中止しないようにしましょう。
  • 副腎皮質ホルモン(コートリル)を内服中の方は、その旨を明記したカード(ステロイドカード)を持参し、緊急時に医師がわかるようにしておきましょう。
  • 規則正しい生活を送りましょう。