褐色細胞腫は副腎髄質あるいは傍神経節に存在する細胞が腫瘍化する病気です。少なくても10%は、遺伝子異常といわれます。

治療は手術と薬物治療とがありますが、腫瘍の切除により上述の疾患の発症予防につながること、褐色細胞腫の約10%が悪性であること、手術後に薬の投与を中止にできる可能性があることから、手術が最優先の治療法と考えられます。

約90%の例で、カテコラミンというホルモンを過剰に産出します。これより、高血圧、心不全、脳卒中、致死性不整脈を引き起こします。

手術前には、α受容体遮断薬を主体とする降圧薬が投与されます。血圧が正常な場合でも、α受容体遮断薬の服薬が必要です。ただし、降圧剤服用の有無に関係なく、カテコラミンが大量に放出される高血圧クリーゼ併発のリスクがあります。

血液・尿検査によるのカテコラミン等の上昇の確認と、画像検査(CT、MRI、MIBGシンチグラフィ)による腫瘍の確認で診断となります。診断後は、原則可及的速やかに腫瘍を切除します。

注腸検査やプリンぺラン、グルカゴン、三環系抗うつ薬、MAO阻害薬、高用量のデカドロンなどの薬剤の投与により高血圧クリーゼが誘発されることがあります。したがって、これらの検査や薬剤を検討する際には、医師に疾患のことを伝える必要があります。

急激な血圧上昇、発汗、動悸、頭痛などの症状が続く場合、薬の投与量が不足している可能性があります。早めに受診してください。

カテコラミンやその代謝産物を測定する場合には、バニラ含有食品、バナナ、チョコレートは食べないでください。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 過労・ストレスに気をつけましょう。
  • 禁煙しましょう。
  • 前かがみ、くしゃみ、排便などが誘因となることを知っておきましょう。
  • 激しい運動、食べ過ぎ、お酒の飲みすぎ、チラミン含有食(赤ワイン、ナチュラルチーズなど)などは高血圧クリーゼの誘因となるので避けましょう。