妊娠糖尿病は、妊娠により正常血糖値よりも高くなる病気です。ただし、1型糖尿病や2型糖尿病の患者さんほどの血糖値の上昇はみられません。
高血糖状態が続くと、胎児の発育が過剰になりやすく、母体や胎児の合併症のリスクが高くなります。
母体や胎児の合併症を予防するには、食事による厳格な血糖コントロールが必要です。食事療法で目標血糖値を達成できない場合には、インスリン療法が行われます。
インスリン療法を開始した場合、妊娠中期以降にインスリン必要量が増加します。しかし、分娩後は急激にインスリン必要量が低下するので、血糖値の変動に合わせてインスリン量を減らしていけば多くの場合、インスリン療法は中止できます。
妊娠糖尿病の患者さんの多くは、出産後、血糖値は正常化しますが、将来、2型糖尿病になる可能性が高くなります。そのため、分娩6~12週後に75gブドウ糖負荷試験(OGTT)による耐糖能の評価を行い、その後も定期的に受診する必要があります。
妊娠中は、母体と胎児に適切な栄養を補給する必要があるので、極端な食事制限をしないようにしましょう。逆に、妊娠しているからといって必要以上に食べ過ぎると血糖値が上昇するので注意しましょう。
定期的に体重を測定し、増減の程度に注意しましょう。
厳格な血糖コントロールが必要なため、血糖自己測定の結果を参考にしながらインスリン量の調整を行います。必ず血糖自己測定をしてください。
妊娠糖尿病について、ご家族や職場の方に説明しておいてください。特に、インスリン療法を行っている患者さんは、低血糖の対処法についても説明してください。