10時間以上食事を摂取しない空腹時の採血で中性脂肪値が150 mg/dL以上、もしくは、空腹時ではない採血で中性脂肪値が175 mg/dL以上である場合に高中性脂肪(トリグリセライド)血症と診断されます。

高中性脂肪血症は、肥満や内臓脂肪が蓄積したメタボリックシンドロームとも関係があり、狭心症や心筋梗塞などの動脈硬化の危険性を高める可能性があります。また、膵炎を発症する可能性もあります。

原因は、体質や遺伝子異常に基づく場合と、飲酒、肥満、糖尿病などによる場合があります。原因となる病態や疾患が疑われる場合は精密検査を行います。

中性脂肪の値だけでなく、悪玉といわれるLDLコレステロール値や、狭心症・心筋梗塞、脳梗塞などに対するリスクも考えて治療方針を決定します。中性脂肪の治療目標値は空腹の時採血では150 mg/dL未満、空腹ではない採血では175 mg/dL未満です。

生活習慣の改善が治療の基本です。生活改善が不十分な場合に薬物治療を行います。中性脂肪値が著しく高い場合は生活習慣の改善とともに、最初から薬物治療が行われます。

食事療法は、摂取エネルギー量を活動量に合わせて適正化します。牛・豚・鶏などの動物性食品は脂質異常症の原因となる飽和脂肪酸やコレステロールが多いので摂取量を控えます。魚の油に含まれるEPAやDHAは中性脂肪値を低下させます。

運動療法は毎日軽度から中程度の有酸素運動(ウォーキングなど)を30分以上行うようにしましょう。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • アルコールは肝臓での中性脂肪の合成が亢進するので節酒または禁酒しましょう。
  • 肥満者や内臓脂肪が多い人は積極的に減量しましょう。
  • 動脈硬化の危険因子である喫煙はやめましょう。