ステロイドは、あなたの治療に欠くことのできない薬ですので、指示通りにきちんと服用してください。

元来、体から出ているホルモンの1種ですので、自己判断で急に服用を中止してしまうと血圧低下など大変重症なことが起こることがあります。

ステロイドの副作用には多くのものがありますが、ほとんどは、しばらくしてステロイドの量が減ってくるとその程度が軽くなります。

医学的には問題ないのですが、特に女性で気になる副作用が満月様顔貌(顔に脂肪がついて丸くなる)です。

医師とともに気をつけていく副作用には、感染症、骨粗鬆症、糖尿病、高血圧症、消化性潰瘍、脂質代謝異常(高脂血症)、白内障・緑内障、筋力低下、骨壊死、精神障害、皮膚脆弱性、二次性副腎不全があります。

ステロイドの副作用の予防は、早期発見と早期からの予防・治療が大切です。そのため、症状がなくてもいろいろな検査をすることが多くあります。これは、症状がなくても副作用が出ている、あるいは今後副作用が現れるかもしれないために現状を把握しておくことが必要なためです。

感染症の早期発見のために、血液検査、尿検査、X線検査を定期的に行います。また、糖尿病、脂質代謝異常のチェックに血液検査、尿検査を行います。その他、骨粗鬆症の検査のために骨密度検査、X線検査を、骨壊死のためにMRI検査を行うとともに、必要があれば眼科での定期検査も行います。

特に、症状がなくても骨密度が低い場合などには、骨粗鬆症の予防のために骨粗鬆症治療薬が始まることがあります。もともと肺に異常がある場合には、結核の予防や感染症の予防のために薬剤の服用を始めることもあります。

普段の生活で気をつけてほしいこと

普段特に大切なことは、ステロイドをきちんと服用すること、もとの病気が治まってくるまで無理をしないで食事を適切にとることです。

■「お薬のこと」

  • ステロイドは、薬が合わないということはほとんどありません。しかし、副作用の出現のこともありますので、変わった症状が出たときは、医師に相談してください。
  • 決して、自己判断で薬を減らしたり中断しないでください。体から出ているホルモンですので、無理に減量したり中断したりすると、もとの病気が悪化したり、新たに重い症状が出ることがあります。減量を希望するときは、ほかの治療法があるかを医師に相談してください。
  • 特に女性では満月様顔貌、ニキビ様のできものが気になりますが、ステロイド量が減ってくると必ず改善しますので、病気が落ち着くまで我慢してください。

■「生活習慣の修正」

  • 食欲が出ることが多くあります。以前より多くの食事をとらないようにしましょう。食事量が多くなると、満月様顔貌がひどくなったり、糖尿病、脂質代謝異常が出やすくなってしまいます。
  • 血圧が上がったり、むくんだりしやすくなるので、塩分摂取を制限しましょう(食塩6g/日未満を推奨しています)。
  • もとの病気が落ち着くまでは、無理な運動を控えて安静をとるようにしましょう。病気が落ち着いてステロイド量が下がってくると運動も必要になります。どの時期にどのくらい運動したらよいのかは、その都度医師に相談しましょう。

■「ステロイド量が減るまで待つ必要のある副作用」

  • 満月様顔貌、ニキビ様のできもの、筋力の低下は、現在は予防することが困難です。食事をとりすぎないようにし、無理をしない生活をステロイド量が減るまで心がけ、時期によって運動量を少しずつ増やしていくことが大切です。

■「副作用の早期発見」

  • 感染症では、発熱とともに喉や排尿時の痛み、咳・痰の症状などがあります。慣れてくると通常の風邪のことが多いなど、だいぶ感覚的に軽いものかどうかがわかるようになりますが、わかりにくいときは医師に相談してください。症状に合わせた治療が必要なことがあります。
  • 骨壊死は、ステロイドを大量服用した後に、まれですが起こるといわれています。特に股関節に起こりやすいので、股関節の痛みがあるときは医師に相談してください。