前立腺がんは、前立腺の辺縁部に発生する進行のゆっくりしたがんです。65歳以上の人に多いがんで、生活習慣の欧米化や高齢社会の到来とともに増えています。

病気の初期には特に自覚症状はありません。排尿の異常などで泌尿器科を受診したとき、または健康診断で腫瘍マーカーPSA(前立腺特異抗原)の異常値が指摘されたときなどに、発見されるケースが多いです。

進行すると、前立腺肥大症のような排尿困難や血尿などの症状がみられるようになり、がんが膀胱へと広がると尿管を圧迫して腎盂(じんう)が膨らむ水腎症(すいじんしょう)になります。

前立腺がんは特に骨に転移しやすく、転移部位に痛みや骨折が起こります。脊椎骨に転移すると転移巣が脊髄を圧迫して麻痺症状が出ることがあります。

前立腺がんは、細い針で前立腺の組織を採集する生検により、病理学的診断が行われて、確定します。

治療法には、手術療法、放射線治療、内分泌療法があり、おとなしいがんの場合や寿命に影響をおよぼさないとみられる場合は、しばらく様子を観察することもあります。PSAの値、腫瘍の悪性度、病期、副作用と生活スタイル、年齢などから治療法を選択します。

副作用は、手術療法では尿失禁や性機能障害、放射線治療では排尿・排便障害、内分泌療法では発汗・のぼせ、乳房痛、体重増加などがみられます。

治療後は、定期的にPSA値を測定します。この値が再び上昇したり、リンパ節や内臓に転移が見られたりしたときは、再発再熱が疑われます。